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社説

ドバイ経済/危機の再燃を防がないと 

 アラブ首長国連邦(UAE)ドバイに、世界一の超高層ビルが完成した。

 800メートルを超えるビルは、神戸ポートタワーのほぼ8倍の高さ。世界中から巨額の資金を集め、高層ビルやリゾート開発を進めてきたドバイの「成長神話」の象徴といえる。だが、一昨年来の金融危機の直撃を受けて、ドバイは資金難に直面し、開発戦略は行き詰まりつつある。このままではビルは「砂上の楼閣」となりかねない。

 「ドバイ・ショック」と呼ばれる同国の信用不安は、昨年11月、590億ドル(約5兆4千億円)とされる政府系企業の債務返済繰り延べをドバイ政府が要請したことがきっかけになった。一時、円高・ドル安が急速に進み、日本の株価も急落した。欧州の金融機関からドバイに多額の資金が流れていたため、ユーロも値を下げた。

 アブダビ政府による250億ドル(2兆3千億円)の支援で当面の危機は回避したが、なお不安はくすぶっている。

 国土が兵庫県の半分足らずのドバイは、金融や物流、観光の地域センターとして発展してきた。債務不履行に陥れば、信用不安が再び世界に広がるかもしれない。

 一昨年のリーマン・ショックに始まる金融危機から1年4カ月。世界の経済は最悪の状態から脱したものの、米国は高い失業率や不動産不況から抜け出せず、日本はデフレ不況に陥っている。欧州でも、財政が危機状態にある国が少なくない。

 そんななか、金が高騰したり、新興国にマネーが集中したりする投機的な動きは依然として変わらず、かつての日本のバブルを思い出させる。金融危機の「芽」を速やかに摘み取り、経済に力強さを取り戻すため、各国の協調と連携をあらためて点検する必要がある。ドバイ・ショックは、その重要性を示した形だ。

 ドバイの行方を世界が固唾(かたず)をのんで見守るのは、経済に火種を抱える国がほかにもたくさんあるからだ。いち早く危機から脱した中国は、不動産の高騰などで資産バブルの状況にある。ロシアは国内総生産(GDP)が大きく落ち込んだままだ。日本も、不況に加えて円高基調が続いており、政府は追加対策を迫られている。

 一連の20カ国・地域(G20)金融サミットでは、金融監視の体制強化や金融機関の資本増強などで合意した。しかし、その実現は道半ばにある。危機の再燃で世界経済が底割れすることのないよう、金融の安全網づくりを急がなければならない。

(2010/01/10 09:17)

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