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社説

日航再建/国民の理解得られてこそ 

 日本航空の経営再建について、政府は法的整理を活用する方針を固めた。

 裁判所の関与と監督により企業の破綻(はたん)処理を行うやり方だ。日航にはまず、会社更生法を適用して裁判所の管理下に置いた上、膨れあがっている債務の削減を急ぐ。こうした枠組みが想定される。

 これに対し、日航や取引銀行は、破綻企業の烙印(らくいん)が押されるなどとして難色を示し、債権放棄を軸にした私的整理を主張していた。しかし、抜本的なリストラを進めるとともに、大前提となる再建手続きの透明性を確保するには、法的整理に踏み切らざるをえないだろう。

 業績は惨憺(さんたん)たる状況である。中間連結決算では純損益が1300億円の赤字となり、2002年の旧日本エアシステムとの経営統合後で最悪となった。官民共同出資の企業再生支援機構の資産査定では7500億円の債務超過に陥っているという。

 世界同時不況や新型インフルエンザの影響で、利用客数が低迷したことが赤字の原因になったのは確かだろう。しかし、債務超過がここまで膨らんだのは、国策会社時代からの「ぬるま湯体質」が改善されなかったことが背景にあるのは間違いない。

 危機に至った原因にメスを入れ、経営責任を追及し、再生のビジョンを明らかにする。並大抵のことではないが、政官財のしがらみを断ち切り、公正な立場で経営に当たらない限り、真の再生はない。

 前原誠司国交相は「飛行機を飛ばしながら再生する」と言及している。運航は通常通り継続され、上場も維持されるという。利用する国民への影響は最小限にとどまるよう努めてもらいたい。

 機構は今月中に支援を決める見通しだ。日航に3千億円出資し、4500億円の融資枠を設ける方針という。出資や融資には政府保証がつく。こうした形で公的資金を投入するのは、政府が日航に「公共性」があるとみているからだ。

 公的資金といえば、金融危機の際の銀行が思い浮かぶ。そのときの理由は「国民生活に直結した金融システムの維持」だった。今回、日航に公的資金を投入する以上、その大義名分について政府は国民にわかりやすく説明する義務がある。

 航空自由化時代を迎えたいま、航空会社の競争はさらに激化する。今度こそ、日航は「国民の足」としての役割を果たせるよう、再建されねばならない。引き続き、厳しく監視していく必要がある。

(2010/01/09 11:31)

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