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湖国自民新体制  参院・知事選対応を急げ

 衆院選惨敗のあと空席状態が続いていた自民党滋賀県連の新執行部が先月下旬、ようやく発足した。
 消沈した党勢をどう立て直すか。県連会長に就いた上野賢一郎前衆院議員ら新執行部の指導力を測る試金石は、同日選の可能性が高い今夏の参院選滋賀選挙区(改選数1)、県知事選への取り組みだ。
 湖国の自民は衆院選の県内全4小選挙区で民主党に敗退、比例復活も阻まれた。参院滋賀選挙区は2議席とも民主が押さえている。「自民の国会議員空白県」に転落したのは滋賀、山梨、岩手3県のみだ。大敗の責任を取り、3区で落選した県連会長が辞任、県議の幹事長らも辞表を提出した。
 敗北の余波は県議会にも及び、最大勢力だった自民会派が県連の運営などをめぐって二つに分裂、第1会派を民主に譲る結果となった。これも影響して新会長選出は難航し、執行部不在は3カ月以上続いた。
 上野会長は1区で敗れた後、県連が外部委員らも含めて設置した党再生委員会の委員長を務めた。先月まとめた報告書には「組織の再構築」「社会変化に応じた政策決定」などの提言を盛り込んでおり今後、具体的な行動計画を策定するという。
 行動には目標設定がいる。その第一は参院選対策だろう。民主は現職の林久美子氏が立候補を表明し、県連が党本部に公認申請している。共産党は新人の川内卓氏の擁立を決めた。自民が候補者選考に手間取れば、前哨戦に割って入るのが遅れるばかりだ。
 県知事選への対応は今後の県政への姿勢を決定づける。嘉田由紀子知事は草の根選挙を原動力に初当選し、自民は野党の立場を取ってきた。だが、来春の県議選も視野に「是々非々で臨むべきだ」との声が県議の間で強まり、会派割れの要因の一つになった。
 知事はまだ去就を明らかにしていないが、再選への立候補は県政界の一致した見方だ。自民も県連全体として1期目の嘉田県政の検証、評価を急がなければならない。
 一連の活動を党勢回復の基盤づくりにつなげるには、県連の中核である県議らの再結集が喫緊の課題だろう。その兆しはみえる。
 県は来年度から市町の国民健康保険給付対策費への補助を打ち切る方針だが、先月の県議会でこの制度の維持を求める付帯決議が可決された。決議案は分裂で生まれた自民会派が提出、本家の自民会派などが賛成した。
 この例のように、政策面から両派の協調を深めていくべきだろう。党再生委の報告書も一丸となった「チーム滋賀県連」の重要性を指摘している。執行部主導で早急にこの態勢を整えなければ、反転攻勢はおろか党再建の展望も見えてこないだろう。

[京都新聞 2010年01月12日掲載]

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