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土地購入問題  小沢氏、説明尽くすべき

 民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入問題で、東京地検特捜部が近く、小沢氏を参考人として事情聴取する見通しだ。
 5年前に陸山会の事務担当だった石川知裕衆院議員が、東京都世田谷区の土地の購入資金4億円などを、2004年分の政治資金収支報告書に記載しなかったとされる。
 問題なのは、その資金の出どころが不明であり、政治資金収支報告書にも記載がないことだ。
 石川議員は「小沢先生から土地購入の指示を受けた。資金が足りず、先生から貸付金として現金を受け取った」と供述しているという。
 小沢氏側は地検の聴取に応じる意向を示したというが、地検だけでなく、小沢氏自らが国民の前に出て納得いく説明をすべきだ。
 「政治とカネ」に国民は厳しい目を向けている。とくに小沢氏は鳩山政権を支える最高実力者と目されており、どこから資金を調達したのか明らかにする責任がある。
 自民党など野党は18日召集の通常国会で、政治資金問題を厳しく追及する方針であり、自民は小沢氏の参考人招致を求めている。
 国会で小沢氏が説明を避けるようでは、鳩山政権がめざす補正予算案と新年度予算案の早期成立の足かせとなりかねない。
 疑惑の舞台となったのは世田谷区深沢の約475平方メートルの土地で、2004年10月に陸山会代表の小沢氏が約3億4千万円で購入した。
 その資金について、小沢氏側は以前「預金を担保に融資金を充てた」と説明していたが、実際は小沢氏側の現金で購入しており、食い違いが浮かび上がった。
 石川議員は「小沢先生は知らなかった」と供述しているが、現金の流れを解明するには小沢氏本人から聴取する必要がある。地検の判断は当然だ。
 西松建設の巨額献金事件などで、小沢氏が「政治活動費はすべて政治資金収支報告書に公表している」と述べてきたのと、今回の不記載が矛盾するのも見過ごせない。
 自民党田中派−竹下派による「金権政治」の真ん中にいた過去のイメージが強すぎるのかもしれない。
 しかし政治家たるもの、不信の目で見られたら沈黙せず、政治生命をかけて説明し、疑念を晴らすのが務めではないか。
 民主党は「政治とカネ」の透明化を訴えてきたはずだが、党内から小沢氏に説明を求める声があがらないのはどうしたことか。
 小沢氏の土地購入問題と鳩山由紀夫首相の偽装献金が、鳩山政権がめざす「変革」にダメージを与えかねない。与党は沈黙すべきではない。

[京都新聞 2010年01月09日掲載]

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