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2010年01月18日政治の責任 建設的な国会議論尽くせ

 通常国会がきょう開幕。召集を目前にして、小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体をめぐる政治資金収支報告虚偽記載事件で、同党の現職議員ら3人が逮捕された。小沢氏は捜査を批判し、検察当局と全面対決の構えを見せた。幹事長続投の意思表示だ。野党は小沢氏の責任を追及し、国会は冒頭から与野党激突の展開となるだろう。厳しい経済情勢加え、日米外交など課題は山積みだ。政権交代しても「政治とカネ」で貴重な時間を費やされる現実に、国民の失望は高まるばかりにならないか。

 今夏の参院選へ向け、政策で攻勢に出るべき民主党が「小沢問題」で守勢に回りたくはないはずだ。検察当局の捜査のあり方を批判する議員も多い。党県連関係者も困惑している。しかし、いくら党代表とはいえ鳩山由紀夫首相が「どうぞ戦ってください」と異例の擁護発言をしたのには首をかしげたくなる。そこに政権トップとして立場の重さと客観性はない。

 首相は党大会で予算の早期成立の必要性を強調した。政策課題の迅速な遂行は重要だが、政策とカネの問題はどちらもしっかり正面から取り組むべきもの。閣僚の間にも「政治とカネ」の問題を軽視したような発言がある。どちらが重要な問題か、優劣を付けるものではない。  首相が何かと多用する「国民」は、世論調査で8割以上が「小沢氏は説明責任を果たしていない」と感じている。政治の質が問われていることをもっと自覚すべきである。

 こうした状況を招いたのは、首相と幹事長という「民主党ツートップ」がともに自身の政治資金問題を問われ、国会召集までに十分な説明を尽くしてこなかったためだ。責任は重い。

 政府、与党は2009年度補正予算を成立させ、続いて10年度予算の年度内成立を目指す。与党が描く通りの国会運営は難しい状況にある。予算が年度内に成立しなければ、景気情勢に与える影響は大きい。そうした事態を避けるために取るべき対応がある。閣僚でない小沢幹事長にも参考人招致に応じたり、政治倫理審査会に出席するなど説明の機会があるはずだ。

 課題山積の中で、経済対策は喫緊の課題だ。予算の根幹をなす「人間のための経済」がどう「成長戦略」につながっていくのか。政府、与党は官僚の答弁を禁止する国会法改正案や、副大臣や政務官を増員し、国家戦略室を「局」に格上げする政治主導確立の関連法案なども提出する方針だ。永住外国人への地方選挙権付与法案の提出も検討している。いずれも重要法案ばかり。議論を尽くしてほしい。

 自民党など野党側も批判するばかりでなく、政策提案能力が問われる。そのまま参院選につながっていくのだ。選挙目当ての軽挙妄動に惰し、国民に見放されてはならない。政権交代後初の特別な意味を持つ通常国会で、政治と政治家の責任を全うしてもらいたい。

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