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2010年01月14日小沢氏側に強制捜査 4億円、徹底解明すべき

 小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入問題をめぐり、東京地検特捜部が元秘書の石川知裕衆院議員を任意で再聴取するとともに、小沢氏の個人事務所や陸山会、ゼネコンなど関係先の一斉捜索に踏み切った。

 政治資金規正法違反の疑いが持たれている石川氏は検察に対し、小沢氏から現金4億円を受け取り陸山会の土地購入に充てたが、自分の「単純ミス」で収支報告書に記載しなかった、と説明してきた。だが検察は、不記載を隠すため偽装工作をするなど悪質で、不透明な資金の流れを解明するには強制捜査が不可欠と判断したとみられる。

 小沢氏は前日の会見で「国民の皆さまに誤解を与えた」と陳謝しながら「意図的に法律に反するような行為はしていないと信じている」と強調。「捜査が継続中であり、いろいろ申し上げることは差し控えるべきだ」と一切の説明を拒んだ。

 そのような姿勢では誰一人として納得しないほど事態は深刻化しつつある。検察は小沢氏が石川氏に手渡したという4億円の素性を徹底解明してほしい。

 いったい4億円はどういうカネなのか。言うまでもなく、小沢氏が自ら説明すべきものだ。土地購入問題や西松建設違法事件をめぐって小沢氏本人や事務所による一連の説明にはほころびが目立ち始めている。

 土地購入問題が最初に表面化したのは2007年だ。陸山会の収支報告書の事務所費に多額の不動産取得費が計上されていると疑問の声が上がった。民主党代表だった小沢氏は記者会見で土地の売買契約書や領収書を示し「国民の政治不信を払(ふっ)拭(しょく)する」と透明性をアピールした。

 西松事件でも昨年、政治資金について「すべてオープンにしている」と胸を張った。ところが、4億円ものカネが簿外で動いていた。さらに小沢氏が出したという4億円で支払いが済んだのに、わざわざ銀行融資を組んだり、政治団体からの架空の寄付を計上したり、と偽装工作の疑いまである。

 しかも石川氏も含め小沢氏側は否定しているが、岩手県でダム工事に参入するため小沢氏側に2回に分け計1億円を裏献金したと建設会社幹部らが供述。うち5千万円の提供が土地購入時期と重なる。検察はこの供述を重視しているようだ。

 また小沢氏が03年に自由党を解散した際、政党助成金を自らの関連団体などに寄付して使い切った形をとり、ほぼ独占したとの批判もくすぶる。解党時には助成金を国庫に返納するのが筋だろう。小沢氏自身のこれまでの発言とは裏腹に、不透明さは増すばかりだ。
 鳩山由紀夫首相の偽装献金を含め、政権党二枚看板の疑惑は看過できない。自民党は小沢氏への議員辞職勧告決議案提出を視野に、18日召集の通常国会で厳しく追及する構えだ。政治主導を標(ひょう)榜(ぼう)するなら、政治家としての説明責任を果たすべきだ。

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