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2010年01月13日県内経済、横ばい予想 正確舵取りで耐えどころ

 今年の福井県内の景気見通しについて、企業経営者の多くは「横ばい」か「やや回復」「やや下降」ととらえている。やや回復、横ばいとも希望的要素が多分に含まれるようで、実際にはもっと厳しく見ているだろう。昨年、世界不況とデフレ、円高で大きく後退した景気だが、今年も回復への弾みは不透明のまま推移しそうだ。企業にとって耐えどころ。将来を見据え正確な舵(かじ)取り力が問われる年である。

 福井新聞社の新春景気聞き取りアンケートによれば、景気見通しが「横ばい」は33%、「やや回復」28%、「やや下降」が24%。力強さを欠いた緩やかな動きと予想している。心配なのは景気の二番底である。35%の経営者は「来る」と答え、特に製造業が高かった。世界不況で打撃を被った影響が尾を引き、警戒心の表れと取れる。二番底の時期は10年度第1四半期の4月から6月ごろとしている。「来ない」28%、「分からない」も37%あり判断はまちまち。見えない不安に回避心理が見え隠れする。

 経済状況は時の政権の政策運営に大きく左右される。鳩山政権下の今年は低空飛行が続きそうとの観測が強い。物価が持続的に下落するデフレが長期化するとみられ、経済活動は縮小しかねない。県内経営者の中にも、デフレの影響が春あたりから深刻化すると見る向きがある。低価格競争が激しいサービス業では、デフレがコスト削減に拍車を掛ければ、雇用を脅かす悪循環に陥るとの懸念がある。
 総務省が発表した昨年11月の完全失業率は5・2%。3カ月続けて改善した後、悪化した。企業の人員過剰感は根強いが、需要を高め、生産拡大して雇用確保につながる政策に政府は本腰で取り組むべきだ。

 政府の経済見通しでは10年度の実質成長率は前年度比1・4%と3年ぶりのプラス成長。同時に完全失業率は5・3%に高止まりし、デフレが続くとみている。プラス成長に中身が伴わず、国民生活は全体的に悪化しそうな流れである。冬のボーナスの大幅ダウン、一層の雇用不安から、消費者心理はすっかり元気を無くし、冷え込んでいるのは間違いない。

 鳩山政権は年末押し迫って新成長戦略の基本方針を策定した。問題の具体化は6月をめどにまとめるという。内需拡大が重要で、輸出も不可欠だ。中国をはじめ、発展途上のアジア各国の需要を見極めることが肝心。県内の経営者も国内市場の頭打ち状況の中で「需要の伸びる海外での事業基盤をつくりたい」と期待する。需要を求め中国などアジア市場進出や合併・買収(M&A)も加速しそうだ。

 企業が元気でないと経済成長はおぼつかない。政治や経済対策への期待は大きい。政府と企業が協力して輸出戦略を推進してほしい。生産拡大こそ雇用、消費を生む。夏には参院選。経済対策の効果は選挙の結果に少なからず影響を及ぼそう。

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