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2010年01月11日JR普通列車削減 これ以上の後退避けたい

 JR西日本金沢支社は3月13日のダイヤ改正に合わせ、スリム化を図る。本県関係では武生―福井、福井―芦原温泉の普通列車計9本が削減される。車両編成の縮小もあり、公共交通網が十分とはいえない本県への影響は小さくない。福井鉄道、えちぜん鉄道などとともにJR普通列車も”市民の足”として、まちづくりを担ってもらわなければ困る。そのためにも県民、関係団体には一層の危機感を持って乗車率を上げる努力が求められる。

 削減されるのは、いずれも北陸本線の午前9時〜午後2時台の運行で、利用者が少ないのが理由。同支社管内の普通列車削減は石川県内1本、富山県内3本に対し本県が断然多く、本線でこれほどのカットは極めてまれという。

 一方、現在米原―敦賀、湖西線の近江今津―福井を走っているバリアフリー対応の「521系」新型普通列車を福井―金沢にも20両投入する。

 越美北線は、夏休みなど通学客が減る時期に、最大3両ある車両を2両に減らし、同様に小浜線も最大4両を3両にする。

 北陸と関西を結ぶ特急は、「雷鳥」の土、日曜のみ運行分を廃止するほか、毎日走る5往復のうちの4往復については、女性専用トイレを備えグリーン車全席にパソコン用コンセントを設置した新型「サンダーバード」などに入れ替える。特急は全23往復とし、一部で平日9両編成だった列車を6両に減らす。担当者は不況やETC割引の影響を挙げ「コスト面で輸送力と輸送量のバランスが取れなくなった」と話す。

 JRグループ全体では、東海道・山陽新幹線で毎日運行する「のぞみ」を71本から101本に。成田エクスプレスは、新宿・横浜方面からの上下線計13往復を増やし、一部を除いて30分間隔の運行を実現する。逆にJR四国は、乗客の減少に合わせた車両編成の縮小やワンマン運行を拡大する。金沢―上野の寝台特急「北陸」と夜間急行「能登」は廃止し、週末や夏休みなどの繁忙期の臨時列車に限る。

 つまり費用対効果が高い路線に力を入れ、そうでない路線は廃止または削減する。公共交通としての役割はあるにしても、企業なら当然ともいえる。本県としては日中の利用が少ない越美北線、小浜線が車両の減少にとどまった点を良しとして、これ以上の後退は避けたい。

 自動車に追い風となるエコカー減税、高速道路のETC割引が続くなか、問題は普通列車の利用者増をどう図るかだ。富山市で昨年末、中心市街地を周回する環状線の路面電車「セントラム」が始動したのを見ても”市民の足”の大切さが分かる。本県では利用促進を支援している自治体などはある。だが、県民一人一人がもっと、身近に鉄道があるライフスタイルの大切さを認識すべきだろう。今回のダイヤ改正を、本県の将来像について論議する材料にしたい。

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