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2010年01月06日分権改革本格化へ 国と地方、目線をそろえよ
地域のことは地域で決める―民主党がマニフェスト(政権公約)に盛り込んだ最重要課題は「地域主権」である。主権確立への第一歩は「地方の自主財源を大幅に増やすこと」と明記する。鳩山内閣による分権改革が今月から本格化する。腰の据わった改革ができるか、内閣の実行力を見定める試金石である。
自公連立政権からの地方分権改革推進委員会が昨年11月に第4次勧告を提出し、今年3月までの任期を残し活動を終えた。それに代わるのが「地域主権戦略会議」である。鳩山由紀夫首相を議長に関係閣僚と有識者で構成、昨年11月に発足した。
戦略会議は改革推進の先頭に立つ機関だが、それだけではない。全国知事会など地方6団体が要望してきた「国と地方の協議の場」も法制化後に発足する予定。さらに原口一博総務相を議長に総務省の政務三役と知事や自治体議会議長、有識者らによる「地方行財政検討会議」が今月中に初会合を開く。
検討会議は、地方自治法を抜本改正し、新たな「地方政府基本法(仮称)」の具体案を審議する。従来の地方制度調査会に代わるものともいう。
こうした全く新しい機関が相次いで動きだす。果たしてうまく機能するのか、いわば「3頭立ての馬車」をどう乗りこなすかが地域主権確立の鍵になる。
鳩山内閣の当面の目標は、昨年12月閣議決定した地方分権改革推進計画の実行だ。国が地方を一律に縛る「義務付け・枠付け」を見直すための一括法案、「国と地方の協議の場」設置法案、それに地域主権戦略会議の根拠法案を18日にも召集予定の通常国会に提出する。
国と地方の協議に加わる山田啓二京都府知事ら地方側は、政府と地方が対等の立場で企画立案し提案することや、行政の無駄をなくす「国・地方無駄とり会議」的な場とすることなどを表明している。単に地方が政府に陳情・要望する場に終わらせず、双方に実効性がある行政調整の場にする必要があろう。
通常国会には、3月で期限切れとなる現行合併特例法に代わる法案も提出される見通しだ。鳩山内閣は住民に身近な基礎自治体(市町村)重視を掲げている。行政効率から、さらなる合併が進むことにならないか、分権の観点から注意を払いたい。
年末の地域主権戦略会議に提出された工程表では、地方への権限移譲など基本的な考え方を盛り込んだ「大綱」を今年夏にまとめる計画だ。大綱を基に第2次の義務付け・枠付け見直しやひも付き補助金廃止と一括交付金化を、2011年度から段階的に実施するとしている。
地方自治体は、財政窮迫や地域経済の疲弊、加速する過疎化など課題が山積している。「住民自治」へ向け、地域住民が課題に立ち向かう動きや議会改革などの広がりも出ている中で、国と地方が同じ目線で地域主権の方向性を確立する年にしなければならない。