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社説

通常国会開幕/旧態依然と言われぬよう

2010年01月18日 01:40
 通常国会がきょう18日に召集される。消化不良に終わった先の臨時国会を踏まえ、与野党の活発な論戦を望みたい。政権交代という大変革があったのに、いつまでも時代遅れの国会運営をしているわけにはいくまい。党首討論も早々に実現させるべきである。

 鳩山内閣として初めての本格国会となった昨年の臨時国会は、鳩山由紀夫首相が所信表明演説で「真に国民のためになる議論を、この国会でぶつけ合っていこう」と呼び掛けたのはよかったが、見せ場はせいぜい予算委員会までだった。

 民主党が中小企業金融円滑化法の委員会採決を強行したのを境に自民党は審議拒否に転じ、非難合戦ばかりの旧態依然とした国会風景となった。政治が変わる、国会も変わると期待した国民からすれば、がっかりせざるを得なかったはずだ。

 通常国会もはなから荒れ模様となりそうである。自民党が「政治とカネ」の問題を徹底追及する構えでいるためだ。

 民主党にすれば、本年度の第2次補正予算案を1月中に上げ、新年度予算案は年度内に成立させて、夏の参院選前に衆院選マニフェスト(政権公約)の主要政策を実行に移したい算段だろう。

 だが、それを阻む要因は身内にある。筆頭は小沢一郎幹事長である。小沢氏の資金管理団体による土地購入をめぐる事件は、現職の国会議員ら3人の逮捕者を出す事態に至った。今後の捜査がどう展開するのか、戦々恐々として国会に臨むことになる。

 自民党は小沢氏ばかりでなく、首相の偽装献金問題などについても起訴された元秘書や実母らの参考人招致を求めるとみられる。野党が政権与党をあらゆる角度から揺さぶろうとするのは常道だ。しかし、国会審議が「政治とカネ」の攻防に終始していては、国民の政治不信が増幅するだけとなりかねない。国会を泥仕合に終わらせないためにも、首相と小沢氏は積極的に説明責任を果たすことが求められる。

 国会運営については、民主党が官僚答弁を禁止する国会法改正案を提出する。これに先行して、「政府の憲法解釈の番人」とされる内閣法制局長官を政府特別補佐人から外し、実質的に答弁に立たせないようにする。政治家による論戦を重視しようとの考えは分かるが、議論の活発化は官僚外しによってのみ実現するのか疑問もある。徹底的に議論してもらいたい。

 自民党は対案として、党首討論の定期開催を柱とした改革案を打ち出す。対案を待つまでもなく、党首討論は頻繁に開くことを求めたい。今後の政権公約の扱いや財政、経済政策、地域主権の進め方などテーマはたくさんある。昨年の政権交代後に一度も開かれていないのは異常と言うしかない。「鳩山隠し」との批判をこれ以上受けないためにも、民主党は自ら積極姿勢を示してほしい。

 大荒れとなるのは必至の通常国会だが、政局と日程優先、そして強行採決と審議拒否という従来のパターンを繰り返す愚は避けなければならない。国民の側に軸足を置いた論戦を望む。

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