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社説

石川議員ら逮捕/小沢氏の沈黙許されない

2010年01月17日 01:20
 小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体の土地購入をめぐる収支報告書虚偽記載事件は、元秘書の石川知裕衆院議員を含めた3人の逮捕に発展した。多くを語ろうとしない小沢氏自身が招いた事態と言える。その小沢氏は、幹事長を続投する意向を示した。それならなおのこと、国民が納得するまで繰り返し説明する責任がある。もう沈黙は許されない。

 現職国会議員の逮捕という衝撃が去らぬ中、きのうは民主党大会が開かれた。政権獲得後初めての定期党大会であり、本来なら晴れやかに迎えられるはずだった。だが、鳩山由紀夫首相と党最高実力者である小沢幹事長がそろって「政治とカネ」に対する姿勢を問われており、逆風は強まっている。

 小沢氏は幹事長を続ける一方、対外的な職務は輿石東幹事長代行に委ねる意向を示した。マスコミとの接触を避け、党運営と選挙に専念するにはむしろ好都合なのかもしれない。こうして「密室政治」が行われるとすれば、国民の理解は得られまい。党大会に先立って開かれた地方代議員会議にしても、小沢氏のあいさつが公表されるはずが急きょ非公開となった。開かれた政治とは逆行している。

 事件の焦点となっているのは、土地購入費の“素性”である。

 小沢氏側は「定期預金を担保にした融資金4億円を充てた」としているが、実際には融資を受ける直前に支払いが済んでいた。石川容疑者は小沢氏から借り入れた4億円で購入したとしており、逮捕後の調べには故意に虚偽記載したことを認めているもようだ。東京地検特捜部の見立ては、ゼネコンからの裏献金が原資になっているというものだろう。

 小沢氏が参考人聴取の要請に応じなかったこともあり、検察は小沢氏の個人事務所などを家宅捜索。ついには石川容疑者らの逮捕に踏み切った。3人はいずれも間近で仕事をしていた人物だ。小沢氏はきのうも「何ら不正なお金は使っていない」と強調したが、説明責任が一層重くなったのは間違いない。

 鳩山首相の対応も解せない。きのうは「信頼している。臆(おく)することなく身の潔白を証明し職務を遂行してほしい」と続投要請した。小沢氏抜きには参院選は戦えないとの判断だが、本来なら激励するばかりでなく、党として真相解明を指示し、公約に掲げていた企業・団体献金の禁止など政治資金規正法の見直しを強力に進めなければならないはずだ。しかし、その動きは鈍い。

 鳩山首相は石川容疑者らの逮捕前、「政治とカネ」について問われ、「こういう問題があるにもかかわらず、民主党は国民の多くに選んでもらった」と、あたかも国民の理解が得られているように語った。それは通用しない。自浄能力を示す必要がある。

 景気は二番底の懸念が消えておらず、雇用も厳しい状況が続いている。どう上向かせていくかが喫緊の課題となっている。そんな中で、18日からの通常国会が冒頭から「政治とカネ」に焦点が当たるのは不幸なことだ。検察の徹底捜査とともに、小沢氏の具体的な説明をあらためて求めたい。

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