ホーム >
社説 > 新成人たちへ/参加の意識を強く持って
社説
新成人たちへ/参加の意識を強く持って
2010年01月10日 01:39
新成人の皆さんおめでとう。政治や経済あらゆることの変化が激しく、雇用情勢も不安定となっている。穏やかな船出はなかなかさせてくれないかもしれない。でも、どうか前向きな気持ちで歩みを進めてほしい。国や社会づくり、そして住みよい古里づくりに、あなたたちの力は欠かせないのだから。
昨年夏の衆院選は政権選択がテーマとなり、本格的なマニフェスト選挙としても関心を集めた。県内の投票率は前回の郵政選挙を上回る73・75%を記録した。年齢別では20~24歳が約48%と最も低く、傾向としては相変わらずだった。ただ、前回からの伸び率が最も高かったのもこの層で、6ポイント余り増えた。多くの若者が政治に目を向けたと言える。
これが一過性に終わるかは、国の政治のありよう次第とも言えるし、若者の意識次第とも言える。例えば年金制度は若い世代こそ、より強い関心を持っても不思議でない。将来設計に不安を覚えるようなら、投票の形で意思を示すべきだろう。無関心を決め込んでいては手遅れになるかもしれない。
年金制度ばかりではない。これから社会を担う一員として、国や地域の姿はどうあってほしいのか一度じっくり考えたい。一票が政治を大きく変えうることは、衆院選が証明した通りだ。
「成人年齢」をどうするかも、若い世代にこそ意見を聞きたい。昨年10月に政府の法制審議会が、民法の成人年齢を今の20歳から18歳に引き下げるのが適当とする答申を出した。成人年齢が関係する法律は300以上あり、年齢の決め方もさまざまのため事は簡単ではなく、今後、国会で審議が本格化する。
成人年齢の引き下げには賛否両論がある。肯定派は、政治への参加意識が高まり、自立性も養われるとみる。選挙権に関しては先の衆院選で、自分も投票したいと熱望した未成年者は多いかもしれない。海外では18歳選挙権が多数派となっている。G8(主要国)では日本以外は18歳であり、引き下げてもおかしくはない。
慎重派は、売買契約などの法的保護が失われる点を心配する。民法では未成年者が売買などの契約をしても、親の同意がなければ取り消せる。これを18歳まで引き下げて大丈夫だろうかという懸念だ。この世代の若者にきちんとした判断能力が備わっているのかという問いかけでもある。見くびるなとの声もあるだろうが、事実、20歳になると途端に悪質商法などのトラブル相談が増えるそうだ。
これは親の世代を含めた社会全体の問題でもある。現在成人手前の若者をちゃんとした大人として扱い、向き合える世の中になっているかということである。議論を深めなければならないだろう。
古里の富山にも大いに関心を寄せてもらいたい。各地で北陸新幹線の開業を見据えた町づくりが進み、あるいは地域協働の取り組みが芽生えている。例えば地域の行事に参加することからも違った世界が開けるはずだ。社会に積極的にかかわる意識を持ち、古里をともに支える。このことを、11日の成人の日を機に考えてほしい。