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社説

除雪費不足/暖冬予測にも備え忘れず

2010年01月09日 01:35
 降雪時、県内のような雪国に暮らす住民が行政に一番強く望む施策は、朝夕の通勤・通学時間帯を中心にした道路除雪だと言っても過言でない。

 昨年12月中旬から続く降雪により、県内のほとんどの市町村で除雪費が不足している。これから冬本番を迎えるため、各市町村では緊急対策として首長が支出を決定する専決処分による除雪費の追加を余儀なくされている。

 今冬は暖冬気味という予測だった。加えて長引く不況で県、市町村の税収が低迷し、除雪費は当初予算では最小限の規模まで削らざるを得ない状況だった。

 豪雪時には激甚災害指定などによって、国の支援を受けることができるが、今冬の雪の降り方をみると厳しい寒波は何度も襲来しているが、平野部の積雪は多くても40センチ程度にとどまっている。

 これでは通常の冬と変わりない状況だ。除雪費が底をついた場合、予備費や基金の取り崩しなどで対応しなければならず、やりくりが苦しい市町村財政に一層の負担がのしかかる。

 富山市は当初予算で1億3千万円を除雪作業委託料として確保していたが3億円を追加し、専決処分した。南砺市も1億440万円を計上していたが、今月4日までにこの額をオーバーし、1億2300万円を追加する。

 今後、さらに除雪費用が膨らむような天候に見舞われることも考えられる。2~3月にさらなる税収の落ち込みが想定される。国から支援が受けられる仕組みを整備する必要はないか。

 深夜から早朝にかけての除雪車の出動により、車道の通行はほぼ確保されているが、歩道にまで除雪の手が回らないのが現状だ。新学期が始まった。通学路を中心に安全対策を徹底したい。

 今のところ目立った「雪害」が出ていないが、万一の場合に備えて一人暮らし高齢者宅の雪下ろしボランティア体制を点検するなど十分な対策を取らなければならない。

 また、融雪装置の老朽化や同装置のフル稼働による井戸水の枯渇などの対策も検討すべきだろう。建設業者の廃業が続いているため除雪車のベテランオペレーター不足も課題になっているようだ。

 一方、山沿いに多くの降雪があったことで、県内すべてのスキー場がこの時期としては久しぶりに「滑走可能」になっている。南砺市内の4カ所のスキー場は前年より約10%増から約2倍の入り込み客があったという。寒波の“恩恵“を受けた格好だ。

 逆に、富山空港は昨年末から数便、悪天候による欠航があった。「冬に弱い空港」という悪い印象を持たれかねない。これまで気象レーダー情報の活用や進入路近くの鉄塔切り下げ、照明施設の高度化などによって冬の欠航を防ぐ取り組みが続けられてきた。引き続き就航率の向上に努めてもらいたい。

 県や市町村の財政難は当面続くとみられる。余裕ある除雪費の計上は容易ではないが、暖冬予測であっても除排雪の備えを怠ってはならないとの認識をあらためて県民で共有したい。

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