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2010年 1月15日(金)

地方財政計画

自治体予算も発想転換を

 年末に決まった2010年度政府予算案に伴う地方財政計画では、地方交付税が11年ぶりに1兆円以上増額されるなど、鳩山内閣が掲げる「地域主権」に大筋で沿うものとなった。

 ただ景気低迷の影響で地方税は約10%減収が見込まれ、交付税も所得税など国税の一定割合(法定率分)だけではとても賄えない。18兆円を超す財源不足を、借金の臨時財政対策債(赤字地方債)を過去最高の8兆円近く増やすなどでつじつまを合わせたのが実態だ。

 こうしたこともあり都道府県と市町村が予算編成や財政運営の指針とする地方財政計画の規模は、前年度に比べ0・5%程度減の約82兆1200億円と2年連続減少した。住民サービスに充てる地方一般歳出額は千億円程度の増加で、前年度並みと言っていい。

 この結果、各自治体は10年度も厳しいやりくりを覚悟しなければならない。一層の無駄を省き、限られた財源を雇用確保など地域の活性化に有効に使ってほしい。

 10年度の交付税額は約16兆9千億円と、小泉内閣の三位一体改革で国の財政再建の一環として大幅削減される前の水準にほぼ戻った。地方側が強く求めてきた「交付税の復元」が実現したことになる。

 政府予算案で公共事業費は18・3%の大幅削減となり、鳩山内閣の「コンクリートから人へ」の転換を強く印象づけた。道路は25%余り減少、新規路線には原則使わないとしている。ダム事業費も大幅に削減され、補助金が付かず建設がストップする地域もありそうだ。ダムの必要性を再考する機会にしてもいいのではないか。

 行政刷新会議の事業仕分けで「地方移管」と判定された下水道や住宅、道路などこれまであった補助金をまとめて2兆円あまりの「社会資本整備総合交付金」が創設された。省庁組織の縦割りだった補助金より使い勝手がよくなるなら歓迎する。自治体側にもさまざまな事業を組み合わせるなど工夫が求められる。

 景気低迷の中での公共事業費の大幅削減は、地方へのしわ寄せが大きい。こうした懸念も受けて約1兆円の特別枠「地域活性化・雇用等臨時特例費」が創設された。雇用をいかに確保するか。企業やNPOなどと連携し地域でやれることを早急に実行してほしい。

 鳩山内閣の目玉事業である「子ども手当」をめぐって、地方側の反対を押し切る形で地方も費用の負担することになった。国の財源不足の結果とはいえ、国と地方の役割分担を明確にする分権の流れに逆行した遺憾な措置と言わざるを得ない。

 長妻昭厚生労働相が地方6団体代表との会談で地方に負担を求めたことを謝罪した。併せて11年度以降の制度設計に当たって、地方側の意見を聞くことを約束した。

 子ども手当のような、全国一律で裁量の余地がない現金給付は国が全額負担すべきだ。地域で事情が異なる保育所開設や子育て支援事業は地方が担うといった、役割分担を強く求めたい。

 政府予算では、高齢化の進展もあり福祉など社会保障関係費が大幅に増加した。医師不足対策など地域医療へのてこ入れも始まりつつある。こうした動きを自治体予算にしっかり反映させなければならない。予算も「ハードからソフトへ」の転換が必要だ。

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