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阪神大震災15年

2010年1月17日

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対策の効果検証も大切

 6400人を超える犠牲者が出た阪神大震災は17日に発生から15年を迎える。街の復興は進んだが、商店街に活気は戻らず、被災者の心の傷はまだ癒えていない。首都直下地震などの危険性が迫る中、教訓を思い出し、講じてきた対策の効果を検証することが大切だ。

 国は切迫性の高い巨大地震に備えて10年間で被害を半減させる地震防災戦略を策定し、3年ごとに目標の達成状況を確認するとしている。昨年4月、東海地震と東南海・南海地震について初めてその結果が報告され、進捗(しんちょく)率は2~3割になっていることが示された。

 このうち、約9200人の死者が想定されている東海地震は、住宅の耐震化や家具の固定などを進めた結果、現時点で死者は約1300人少なくなり、経済被害は約37兆円から約32兆円に抑えられる。試算上、着実に対策が進み、効果が出ていると受け取れるが、評価することは難しいのではないか。

 肝心なのは優先順位を明確にした備えである。自宅を失っても「生きてさえいれば、どうにでもなる」という震災体験者の言葉がある。犠牲者の減少に重点を置くとしながら、例えば病院ではすべての施設が耐震基準を満たすのは6割にとどまっている現状は大いに不安だ。

 阪神大震災は建物の下敷きになって多数の死傷者が出た。地元の病院も損壊し、重症患者は被害を受けていない遠方の病院にヘリで搬送された。病院の耐震化を一層進めることは当然だが、患者の受け入れ先を迅速に確保する広域連携の態勢づくりが何より重要である。

 市民の防災意識を持続させるには工夫が要る。時間の経過とともに危機感は低下する傾向にある。防災訓練の参加率は地域差があり、若い世代をどう巻き込んでいくかなど、地域防災力の課題は残されている。

 節目の年を迎え、教訓を次の世代に伝えようという動きが増えていることの意義は大きい。阪神高速道路会社が当時倒壊した橋脚などを保存する施設を17日から一般公開する。耐震技術をめぐる安全神話が崩壊した事実を忘れてはならない。

 地震は活動期に入り、対策強化は「時間との闘い」になった。防災教育など多額の費用をかけずとも効果が期待できる取り組みがある。地震に負けない社会づくりに努力を続けたい。

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