知る×つながる=動きだす カナロコ 神奈川発コミュニティーサイト

ログイン

新規登録

  • お問い合わせ
  • たびたびある質問
  • サイトマップ

派遣法改正

2010年1月16日

 ソーシャルブックマーク  (ソーシャルブックマークとは)

労働者保護の第一歩に

 製造業派遣や登録型派遣の原則禁止を柱とした労働者派遣法改正案の報告書がまとまった。結果として大量の「派遣切り」を招いた自公政権時代の規制緩和方針から労働者保護に転換したことは評価したい。課題は残されているものの、まず一歩踏み出すことが重要だ。

 米国の金融不安を発端とする経済危機が起きた2008年秋以降に失職した非正規労働者は20万人を超し、その6割が派遣労働者といわれる。企業にとって派遣労働者は、人件費削減とともに雇用調整の面でも便利な存在である。

 経営者側の要請もあり、自公政権は04年、労働者派遣法施行時には盛り込まれなかった製造業への派遣を認めるなど、規制緩和を進めた。国際競争力をつける狙いがあったとはいえ、就労関係の不安定な労働者が増えたことは否めない。

 相次ぐ「派遣切り」などの雇用不安を受け、自公政権は08年11月に期限付き日雇い派遣の原則禁止などを盛り込んだ改正案を国会に提出した。これに対し民主、社民、国民新党は09年6月、仕事があるときに雇用契約を結ぶ登録型や製造業派遣の原則禁止を中心とした改正案を提出。しかし、衆院解散で両改正案とも廃案となっていた。

 こうして議論が棚上げになっていた間も景気は低迷し、厳しい雇用環境は続いている。

 政権交代後、長妻昭厚生労働相の諮問を受けた労働政策審議会がまとめた報告書では、登録型と製造業派遣、日雇い派遣をいずれも原則禁止とした。登録型派遣は、専門業務と高齢者や産休代替などを例外として認めた。製造業への派遣でも雇用契約または雇用見込みが1年を超える「常用型」は可能とした。公布後にこれらの例外規定が広がらないようにしてほしい。

 公布日から3年以内に施行するが、登録型派遣の原則禁止については、労働者や企業に与える影響が大きいとの理由でさらに2年猶予し、5年以内に禁止する。これに対し、連立を組む社民党の福島瑞穂党首は、5年後の禁止は遅すぎると指摘。政治主導で改正案の内容を決める意向を示している。

 確かに、いまも不安定な就労関係に置かれている労働者にとっては納得できないのも分かる。労働者保護の視点を大切にしながら、期限を設けて報告書の内容を見直す必要があろう。 

最近のエントリ

給油活動終了
(2010.1.19)
虐待と親権
(2010.1.18)
阪神大震災15年
(2010.1.17)
派遣法改正
(2010.1.16)
通常国会
(2010.1.15)

神奈川新聞購読のお申し込み

神奈川新聞 試読のお申し込み

企画特集【PR】