環境展望
2010年1月8日
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新議定書づくり正念場
地球環境に悪影響を及ぼす温暖化を食い止めようという国際的な取り組みに暗雲が漂っている。京都議定書に続く新たな枠組みづくりは、昨年12月にコペンハーゲンで開催された気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が不調に終わり、今年に先送りされた。洪水や干ばつの多発、生態系の異変が各地で報告されるなど温暖化による被害は既に出ている。「北極や南極の氷床の融解で今世紀末の海面上昇は1~2メートルに達し、熱帯林の約3分の2が破壊される」。世界の科学者たちが予測する地球の将来の姿は厳しさを増している。
COP15に集まった約110カ国の首脳は新議定書づくりの道筋すら示せなかった。その責任の大きさを自覚してもらいたい。世界に批判と失望感が広がっている。主張の隔たりは先進国と途上国の間だけではなく、先進国同士、途上国同士にもあり、複雑化している。
「経済成長の足かせになるコスト負担はできる限り避けたい」。国益を重視する各国首脳の本音はこうだろう。だが、交渉の歩みを止めるわけにはいかない。すべての国が「共有だが差異ある責任」を果たす枠組みを新設しなければならない。
COP15の教訓は、温暖化対策がグローバルな「安全保障問題」であり、最優先で取り組むべき外交課題になったと明確に示したことだ。オバマ米大統領はノーベル平和賞の演説で「温暖化対策なしで平和の実現はおぼつかない」と訴えた。
先進国が削減義務を負う京都議定書は2012年に終わる。現状は温室効果ガス排出の約3割を規制しているにすぎない。温暖化対策の継続・強化には、議定書を離脱した米国や急成長する中国、インドなどの次期枠組みへの参加が不可欠であることは言うまでもない。
途上国の発言力が増す中で日本は戦略の見直しが必要だ。COP15の結果を受け、各国は1月末までに削減目標などを申告する。日本政府が「20年までに90年比25%削減」を維持するとしたことは評価できる。
高い目標に国内産業界は反発しているが、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が必要とする最低値であり、他国の目標が低いだけだ。横並びの発想はやめよう。日本が低炭素革命のモデルをいち早く示すことで交渉をリードしたい。
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