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安保改定50年展望

2010年1月7日

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基地の痛みの転換点に

 沖縄の米軍普天間飛行場移設問題の決着は5月に先送りされた。「世界一危険」と形容され、多くの生活被害をもたらす基地である。“迷惑のたらい回し”ともいえる従来の手法とは異なる新たな解決策が求められる。今年は日米安保条約改定から50年に当たる。節目にふさわしい結論を期待したい。

 戦後の日米同盟がもたらした安全安心の果実を多くが享受する一方で、基地周辺の住民は騒音や犯罪といった被害に苦しむ。基地の存在を実感する機会の少ない大半の日本人は、その被害に無関心ではなかったか。放置された被害の現実から米軍の駐留を見直すべきだ。

 在日米軍施設の75%が集中する沖縄。中でも住宅街の真ん中に位置する普天間はヘリの墜落という忘れ難い恐怖を体験した。住民の我慢も限界だ。だが日米合意で移設先となる名護市辺野古にはジュゴンが暮らす宝のような海がある。

 その海を埋め立てる計画は地元にとって理不尽と映るだろう。苦渋の選択で容認した人々も本心は「県外、国外移設」に違いない。日米合意で「唯一、実現可能」とされた計画だが、変更を迫られている。

 米空母艦載機の拠点で、200万人が暮らす厚木基地周辺の人々も普天間と同じ痛みを味わってきた。騒音でテレビも電話も聞こえない生活。艦載機は山口県の岩国基地へ移設するが、騒音訴訟の関係者には被害の押しつけ、との思いもある。

 過密な日本、基地があれば摩擦は避けられない。誰も本音では受け入れたくない。国に強く物申せない疲弊した地方に振興費を示し、力ずくで決着させるのがこれまでの解決策だった。“たらい回し”である。

 普天間の新たな移設先を模索する新政権。その動きは痛みと真摯(しんし)に向き合っているようにも見える、と基地被害者には評価する声もある。日本全体で駐留を議論する時代への転換を期待する。もしもリップサービスに終われば信用は失墜する。

 「水と安全はただ」と思える暮らしは悪くない。だが基地を迷惑と考え、反発する人たちの存在を忘れてはならない。隣人に疎まれる存在では良好な関係は結べない。情勢の変化に応じて基地の整理縮小を進めるべきだ。「常時駐留なき安保」といった在り方も含め、未来像を議論する節目にしたい。

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