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経済展望

2010年1月5日

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 とりあえず一息つけたが、先行きの視界は晴れないまま。そんな心境で新年を迎えた企業が多いのではないか。

 1年前と比べれば良くなったと前向きに考えたい。どこまで落ちるのか、いつまで続くのか分からなかった暗闇にも底はあった。身を縮めているだけの年は終わったと信じよう。差し込んでくる光を頼りに一歩を踏み出す。そんな年にしたい。

 足元の景況感は確実に改善に向かっている。12月の日銀企業短期経済観測調査(短観)は大企業製造業で3期連続で改善した。指数はリーマン・ショック直後の水準にまで戻している。県内では中小も含めた全産業ベースで2期連続の改善を示し、全国の数値をも上回った。

 明るさをもたらしている光源ははっきりしている。一つは輸出が好転しつつあることだ。横浜港でも米国向けは27カ月ぶり、中国向けも13カ月ぶりに前年実績を上回った。もう一つは家電や環境対応車の販売が堅調な点だ。減税などの効果とはいえ、冷え込んだ消費環境の中では貴重な光だととらえたい。

 確かに、日本経済全体を照らすにはいずれも心もとない。想定レート以上の円高にさらされる輸出企業にとって、その光源は不安定に揺らぐ。消費刺激策が下支えするもう一つの光も、照らす範囲や期間は限定的でしかない。さらに、デフレという暗雲が光量を弱々しくしている。

 光に、広がりと力強さがほしい。そこは、取りも直さず政治に期待される役回りである。100年に一度と評された経済危機。その回復局面で登場したのが今の政府だ。「政権交代こそ最大の景気対策」と訴えた言葉を国民は忘れていない。

 新年度予算案は、そうした期待に応えるには非力な印象が否めない。それでも公共事業費の大幅削減など、産業構造を根本から転換させようという大きな方向性は読み取れたのではないか。具体策に落とし込む作業では、環境・エネルギーや医療・介護などの戦略分野でどこまで思い切った規制緩和に踏み切れるかが焦点になろう。明確な成長戦略こそ最大の光である。

 暗闇から抜け出た先の風景は今とは全く異なる産業構造が開けているかもしれない。その世界は意外な企業が飛躍する可能性も秘めている。二番底におびえてばかりはいられない。前を向いて一歩を踏み出したい。

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