地球温暖化が想像をはるかに超える早さで進んでいる-。東京・新橋の共同通信社で開かれた論説研究会の折、日本の国連代表部の人からこんな話を聞いた。「地球温暖化」。その温暖化の原因となる温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)などについて世界気象機関(WMO)は、2008年の世界平均濃度が過去最高値を更新したと発表した。人々の暮らしが大発展を遂げた産業革命前と比べ、CO2濃度は38%増加した。大発展は環境問題という矛盾も生んだ。
かけがえのない地球の環境を守ることの大切さについて異論の余地はないだろう。だからといって、いまさら江戸時代の暮らしに戻れるはずもない。頭では理解しているつもりでも、わたしたちはその大切な環境を守るために、この千葉県で、あるいは暮らしている地元地域で「何ができるか」を考えたことがあるだろうか。
ことしは国連の生物多様性年。「生物多様性」とは何だろう。約3千万種ともいわれる地球上の生物を「互いに結びついてバランスを保ち、人々の暮らしにもたらす恵み」のこと。分かったようで分かりにくいが、やなせたかし作詞、いずみたく作曲の『手のひらを太陽に』の歌詞に「ミミズだってオケラだってアメンボだって、みんなみんな生きているんだ友だちなんだ」とある。歌には生きものたちが次々と登場してくる。このにぎわいこそが生物多様性ではないだろうか。1992年5月には「生物多様性条約」がつくられた。世界の生物多様性を保全するための具体的取り組みも検討されている。
しかし、世界的な人口増や開発などで、ここ数百年で生物の絶滅速度は千倍に加速したという。開発や乱獲による種の絶滅という第1の危機。里山の手入れ不足による自然の質の低下による第2の危機。外来種持ち込みによる生態系のかく乱という第3の危機。そして地球温暖化。こうした危機を受け、日本の野生動植物の約3割が絶滅の危機にひんしているのだ。
03年5月、千葉県は全国に先駆け「里山条例」を施行。多様な生きものの宝庫でもある里山の保全、活用を推進してきた。黒潮と親潮の合流で多様な生物相を有し「生態系のモデル」といわれる千葉の自然。ことしは真剣に考えてみようではないか。
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