小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」による土地購入問題は、政治資金規正法違反容疑で元秘書の石川知裕衆院議員らが東京地検特捜部に逮捕される事態に発展した。土地購入資金はどこから出たのか。検察の参考人聴取に応じず、ことの真相を語り、疑惑を晴らそうとしない小沢幹事長の姿勢に国民の不信感は募るばかりだ。
小沢幹事長は側近逮捕の翌16日に開かれた党大会で「到底納得できない。全面対決していきたい」と検察当局の捜査を真っ向から批判し、幹事長続投の考えを表明。鳩山由紀夫首相も7月の参院選を小沢幹事長体制で臨む意向を重ねて示した。自民党など野党はきょう18日招集される予算案審議の通常国会で首相の偽装献金問題と合わせて小沢幹事長の金脈を徹底追及する構えだ。冒頭から大荒れの国会となりそうだ。
派閥領袖の命令や族議員介入による密室政治を典型とする自民党政治の悪しき面が、「不透明」「利権」「数の政治」だとするならば、政権交代を成し遂げた鳩山政権では「透明性」「公開」「説明責任」が求められる。「投票で政治を変えた有権者」の思いでもある。それを政権交代の立役者である小沢幹事長自らが放棄している。
新内閣の支持率が4カ月で急落したのは政権運営の透明性、誠実さが欠けていたからに他ならない。閣内の調整に手間取りながら、幹事長の要望ひと言、密室で決まった新年度予算編成。米軍普天間基地の移設問題では鳩山首相の優柔不断を国民に印象付けた。大勢の国会議員が小沢幹事長の私邸に詣でた新年会は、幹事長が師と仰いだロッキード事件の田中角栄元首相のそれを彷彿(ほうふつ)とさせた。
秘書が偽装献金事件で在宅起訴された鳩山首相。資金は母親からの贈与と修正申告したが、使途には言を濁したまま。小沢幹事長は土地購入資金の原資が問題となっている。
政権党のナンバー1、ナンバー2がそろって政治資金問題を抱えたたまま、予算案審議の通常国会に臨む。自民党政権下ならきっとあったであろう、身内の権力者に対する批判は民主党内では影を潜め、表だって辞任を求める声も聞かれない。
説明責任を果たさない幹事長、自浄作用のない政権に国民の失望と不信は広がっている。
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