忙人寸語

県警、体感治安へ推進 犯罪7年、交通死10年減少


 経済停滞が続き社会を閉塞感(へいそくかん)が覆う中で、2009年の県内犯罪(刑法犯認知件数)は7年連続で減少、交通事故死者数は197人で、1958年以来51年ぶりに200人を下回った。「県民の安全な暮らしを守る」とする県警は、防犯と交通安全についてハードルが高くなった10年、県民の体感治安へ一層の取り組みが求められる。

 県内の09年刑法犯(いずれも11月末まで)は前年比約3600件減少した。内訳は殺人や強盗などの重要犯罪、空き巣、すりなどの重要窃盗犯が前年比120件減少。検挙率は29・8%で、01年の戦後最低の14・3%からは倍増し、現場主義の検挙強化の効果が出てきた。

 それでも県内の凶悪事件は、全国ニュースとなり世間の注目を集め不安が広がった。

 千葉市花見川区の母親刺殺・次女逮捕監禁事件、松戸市の千葉大女子大生殺人放火事件などの捜査本部事件は5件。ストーカー相談後、被害に遭うなど女性が狙われたのが特徴的。

 強盗致傷、強姦(ごうかん)未遂容疑などで3度逮捕された竪山辰美容疑者(48)、千葉大生の事件関与についても捜査が進む。市川市の英国人女性殺害事件は、市橋達也容疑者(31)を執念の逮捕。整形手術をして2年7カ月間に及ぶ逃亡劇にも関心が集まった。裁判員裁判での公判に移る。

 交通事故死者は、県警が掲げた目標の「アンダー205」をクリアして10年連続の減少。過去最悪は1970年の702人。3分の1以下の28%まで減ったことになる。背景にはシートベルト着用義務化をはじめ、飲酒運転の厳罰化、県警や民間のマナー意識向上などソフト面のほか、エアバッグなど車の性能向上、道路改良と信号機設置といったハード面が複合要因として相乗効果を発揮した。

 だが、09年の交通死者のうち高齢者は増えて44%を占めている点は憂慮される。飲酒運転や速度違反の悪質ドライバー取り締まり強化と合わせ、高齢者意識対策がより必要となる。

 減っても197人の遺族をはじめ近親者、関係者の悲しみは深い。紙面で大きく取り上げる殺人事件と比べ、交通事故死の扱いは小さいが、人の命の重さは同じで「命は地球より重い」とされる意識を持って記事化し、一件でも減ることを願う。

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