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社説:石川議員ら逮捕 小沢氏、続投なら説明を
 こんな急展開を、誰が予想しただろうか。18日召集の通常国会直前、しかも政権交代を実現した民主党の党大会前夜というタイミングに、同党の最高実力者の問題に対して東京地検特捜部が激しく切り込んだ。
 小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる問題である。特捜部は、元私設秘書で衆院議員の石川知裕容疑者をはじめ、後任の元私設秘書、そして西松建設の巨額献金事件で公判中の公設第1秘書の3人を政治資金規正法違反容疑で逮捕したのである。
 石川容疑者は在宅のまま起訴されるとみられていた。それが、なぜ強制捜査となったのか。証拠隠滅の恐れなどいろいろ理由があるだろうが、小沢氏が任意聴取の要請に応じなかったことも無縁ではあるまい。
 小沢氏を支えてきた3人を、形式犯ともいえる規正法違反容疑で逮捕したことは、検察側が小沢氏へ「全面対決」を宣言したようなものだ。その意味で、小沢氏ばかりか、検察側も重い責任を背負ったといえる。
 言うまでもなく最大の焦点は、「陸山会」が2004年に東京都世田谷区の土地を購入する際、小沢氏が石川容疑者に手渡したという4億円の「素性」である。
 石川容疑者が言うように、小沢氏のたんす預金なのか。それともゼネコン側からの裏献金が含まれているのか。
 現段階で予断は禁物である。しかし4億円を収支報告書に記載しなかった経緯が不自然極まりないのは事実である。この4億円で支払いが済んだのに、銀行融資をわざわざ組んだり、政治団体からの架空の寄付を計上するなどしているのだ。
 これでは偽装工作の疑いを持たれても仕方ない。仮に岩手県の胆沢ダム工事に絡む裏献金だとすれば、以前からの「政治とカネ」の構図を引きずったままの根深さを感じさせる。
 問題は、事ここに至っても小沢氏が十分な説明をしていないことにある。党大会で幹事長を続投する考えを表明したが、それならなおさら詳細に説明する責務があるだろう。
 国民の多くが民主党に期待したのは、政治主導もさることながら、透明性のあるクリーンな政治ではなかったか。鳩山由紀夫首相、そして民主党も、このまま「臭い物にふた」の態度を取り続けるようだと、大きなしっぺ返しを受けるのは間違いない。そう覚悟すべきだ。
 通常国会では、09年度第2次補正予算案に続いて10年度予算案の審議に入る。経済対策、普天間飛行場移設問題など、国内外とも難題が山積している。まして政権交代後、初となる通常国会は特別な意味を持つ。
 まず小沢氏の問題に関して、野党の追及を受ける前に自ら進んで説明する。鳩山首相自身の偽装献金を含め、そんな潔さを強く求めたい。それ以外に通常国会を乗り切る方法はない。
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