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■ 秋田のニュース:社説

社説:派遣村の改正 雇用の安定に知恵絞れ

 昨年の「年越し派遣村」、さらに今年の「公設派遣村」の報に接し、心を痛めなかった人はいないに違いない。非正規雇用の危うさを見事なまでに象徴していたからである。

 政治がこの問題にやっと一つの答えを出そうとしている。労働者派遣法の改正に向けた報告書がまとまり、政府が18日召集の通常国会に改正法案を提出する見通しとなったのである。

 派遣という働き方がもてはやされた時期も確かにあった。しかし、うたい文句の「働き方の多様化」が決して結構ずくめでなかったことは、もはや誰の目にも明らかである。

 一昨年秋の金融危機以降、製造業を中心に「派遣切り」が横行。派遣労働者はいざとなれば「雇用調整弁」として扱われる実態があらわになったのだ。

 この流れは派遣法の変遷と無縁ではない。1986年に施行後、繰り返し規制緩和が進められた結果でもある。これを労働者保護へと軸足を移すところに改正の最大の特徴がある。

 仕事があるときだけ雇用契約を結ぶ「登録型派遣」は専門26業種などを除き禁止。製造業への派遣や雇用期間が2カ月以内の「日雇い派遣」も原則禁止としたことは大きな前進だ。

 半面、例外が設けられた点にも注意が欠かせない。製造業派遣で長めの契約が見込まれる「常用型」は禁止の対象外。その常用型の定義があいまいで、派遣切りが許されるとの懸念が消え去らないのである。

 規制強化の実施時期にも疑問符が付く。製造業派遣の原則禁止は改正法公布後から3年以内、登録型派遣の禁止も5年以内の移行期間を設けるべきということになっているのだ。

 緊急の社会問題として派遣法の改正論議が始まったはずである。救済を待ち望む元派遣労働者らには、怒りにも似た思いがわき起こってきたとしても何ら不思議はない。

 しかし、ここに派遣労働問題の難しさが潜むともいえる。

 企業は規制強化の実施までに派遣労働者を正社員など直接雇用に変えたり、業務を外注に切り替えたりする必要がある。その過程で派遣労働者がはじき出され、結局、職を失うケースが十分に想定されるのだ。

 労働者がこれ以上使い捨てにされるようなことがあってはならない。一方、そのための規制強化が逆に失業につながってもならない。この難問をどう解くかが問われている。

 ぎりぎりの経営を迫られている企業にとって決して容易なことではない。しかし、「企業は人なり」の観点に立てば、知恵の絞りどころであり、人材を集め、育てるチャンスでもある。

 国会には白熱した論戦を期待したい。派遣法の改正にはいわば、国や企業がいかに労働者(人)を大事にしていくかという問いも含まれる。鳩山政権が掲げる「コンクリートから人へ」が本物かどうかも試される。

(2010/01/14 09:14 更新)

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