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■ 秋田のニュース:社説

社説:年金機構が始動 信頼回復に全力注げ

 不祥事が相次ぎ、昨年末に廃止された社会保険庁の後を受け、日本年金機構が今月から業務を始めている。国民の年金行政に対する不信感をいかに払拭(ふっしょく)できるかが問われる。

 全国312カ所にある旧社会保険事務所は年金事務所と改称された。正規職員1万800人のうち大半は社保庁からの移行組だが、民間からの採用もおよそ1割に上る。役職員は公務員ではない。ただし刑法などの罰則は公務員とみなして適用される。あしき慣習を改め、緊張感を忘れずに業務に当たらなければならない。

 「電話は3コール以内に出る」「待たせる時間は30分以内を目指す」など、接客のルール10カ条を設けたという。ずいぶん細かい取り決めのようにも思えるが、要はいかに顧客を第一に考えて対応するかだ。役職員一人一人が意識改革を図り、サービスの向上につなげていくことが求められる。

 国民の信頼を失った最大の原因は、自民党政権時代の2007年に発覚した「消えた年金」問題である。基礎年金番号の導入に伴う事務処理がずさんだったため、約5千万件もの年金記録が誰のものか分からなくなってしまったのだ。

 民主党はこの問題への対応を国家プロジェクトと位置づけ、マニフェスト(政権公約)には2年間、集中的に取り組むと明記した。解決にどれぐらいの年月を要するかは、いまだ不透明だが、早急に取り組むことが不可欠であることは言うまでもない。

 ところが10年度予算案の中身を見て期待がしぼんだ。年金記録問題の対策費が概算要求のおよそ半額にとどまったのだ。財政事情が苦しいのは分かるが、果たしてこの予算で、原簿の紙台帳とコンピューターの記録の照合などが、速やかに進むものなのか。

 民主党は国民、厚生、共済の各年金を一元化した新たな年金制度を創設するとしている。今回発足した日本年金機構はその際、国税庁と統合され、「歳入庁」というまた別の組織に生まれ変わる構想だ。

 もちろん問題は、組織の形や名称の変更などにあるのではない。少子高齢化が進んだ場合でも、安心して暮らすことができる確かな制度が構築されるか否かが国民の関心事なのである。

 ところが今のところ、そのための議論があまり活発ではないように見える。ほかの政治課題がさまざま取りざたされる中で、国民生活を支える肝心の年金の制度設計が後回しにさせられていると言っても、決して言い過ぎではない。

 まず求めたいのは、「ミスター年金」と呼ばれる長妻昭厚生労働相の指導の下、日本年金機構からお役所体質を一掃することだ。その上で鳩山政権には、消えた年金問題の早期解決や、持続可能な年金制度構築という大仕事への期待がかかる。

(2010/01/12 09:29 更新)

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