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社説:「美の国」再興 観光を活性化の支柱に
地場産業の衰退や人口減少が続く本県にとり、地域活性化の方策としてあらためて注目されているのが観光振興だ。観光立国を宣言している政府も重要施策に位置付け、外国人観光客の誘致に力を入れている。本県の豊かな自然や歴史文化、それに秋田人のもてなしの心などは「美の国秋田」にふさわしい特性だろう。今年はその特性に一層磨きをかけ、観光を大きく前進させる1年にしたい。
本県への観光客は減少傾向にあるが、外国人観光客は韓国、台湾、中国などを中心に増加してきている。特に昨年は韓国の人気俳優イ・ビョンホンが主役を演じたテレビドラマ「IRIS(アイリス)」の県内ロケ地を巡る韓国人観光客が増加、秋田—ソウル便の12月の搭乗率は85・5%と2001年の就航以来、月間で最高を記録した。日本の民放テレビでも年内に放映予定があり、今度は国内ファンによる県内ロケ地巡りに期待がかかる。
観光振興は、一にも二にも魅力ある資源を創出することにある。今ある資源に付加価値をつけ、足元に眠っている資源を掘り起こすことに地域ぐるみで取り組むべきだろう。住民には見慣れた田園風景や山村、漁村の風景であっても、非日常的経験を求める観光客にとっては、心と体をリフレッシュさせる空間になり得る。同時に地域住民との温かな交流が加われば満足度は一層高まる。
かつての観光は旧跡などを団体で巡る物見遊山的なものが中心だったが、近年は個人や小グループによる体験や癒やし、学習などを目的にした形態にシフトしつつある。自然豊かな本県にとってはグリーンツーリズムやエコツーリズムといった分野を積極的にアピールし、宿泊施設の整備や案内人などの人材育成にも取り組むべきだろう。
このほか、最近の動きとしては貴重な地形や火山、断層、岩石などの地質遺産をテーマとした「ジオパーク」(大地の公園)構想が男鹿市や湯沢市で持ち上がっている。大地の歴史を探るという新たな観光資源になり得るだけに、地元自治体を中心に関係機関は観光化への取り組みを進めたい。
観光振興には行政のバックアップが欠かせない。このほど策定した「秋田県観光プラン素案」には県内の観光振興セクションの機能合体を盛り込んでいるほか、本県を丸ごと売り込むための情報発信なども掲げた。方向性はいいのだが、要は着実に実行できるかだ。「隣の町の観光パンフレットがない」というケースは県内観光地で度々見受けられる。観光客を県内に滞留させる「オール秋田」の観光化実現のためにも機能合体を急ぐべきだ。
観光で国内外の交流人口を増やすことは、人口減少が進む本県の生き残り策でもある。県民が案内人となって「美の国」へいざなう運動を展開したい。
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