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■ 秋田のニュース:社説

社説:今年の政治 首相の決断力にかかる

 「相対的貧困率」という言葉がある。全人口の可処分所得の中央値の半分未満しか所得のない人の割合、つまり生活に苦しむ人の割合を示すものである。

 厚生労働省が昨年10月に初めて発表したものだ。その結果に、あらためて思いが至る。2007年の相対的貧困率は15・7%で、実に7人に1人が貧困状態にあるというのである。

 こうした貧富の格差、あるいは中央と地方の格差が、このまま拡大していいはずはない。その理不尽さ、いびつな社会がもたらす将来への不安感が、昨年の衆院選での政権交代につながった大きな要因ではないか。

 しかし、さっそうと登場した鳩山政権はどうもピリッとしない。9月の発足直後に72・0%と高かった内閣支持率は、年末には47・2%まで急落した。その理由をたどると、鳩山政権の今年の課題が見えてくる。

 まず指摘したいのは、鳩山政権の「透明性」が看板倒れになりつつあることである。

 何といっても、自身の政治献金問題に対する鳩山由紀夫首相の説明不足が大きい。巨額の偽装献金で元秘書が在宅起訴されるまで、まるで他人事のように振る舞った鳩山首相の態度には潔さが感じられない。

 「自らの問題をきちんと説明できないで、何が透明性か」といった不信感を払拭(ふっしょく)できるか。通常国会での対応が重要だ。

 10年度予算編成では、透明性に加えて鳩山首相の指導力にも疑問符が付いた。象徴的なのは、衆院選でマニフェスト(政権公約)に掲げたガソリン税などの暫定税率問題だ。「廃止」から「事実上の存続」への重大な公約転換なのに、小沢一郎幹事長の方針を追認したのである。

 小沢幹事長が「存続」を決断するまでの過程には、自民党的な密室性すら漂う。「二重権力構造」は鳩山政権のアキレスけんになりかねず、早急に役割分担を整理し直す必要がある。

 米軍普天間飛行場の移設問題など難問は山積している。その中で、鳩山政権に決定的に欠けているのは、成長戦略であり、経済政策の司令塔である。

 そうした声を気にしたのだろう。政府は年末に成長戦略の基本方針を急きょ決定したが、中身をみると、単に政策を列挙しただけにすぎない。こうした舞台裏が透けて見えるところに、政権の底の浅さを感じる。

 政治主導は大いに結構である。問題は、霞が関の力をいかにうまく利用するかだ。そろそろ「脱官僚依存」から「官僚の活用」に進化させ、それこそ地に足のついた政治を実現してほしい。

 国民が民主党に期待したのは、自民党政治に欠落していた透明性ある迅速な判断と行動、財政難の中での無駄排除ではなかったか。その原点に、鳩山政権は立ち返るべきだ。日本の政治の成熟に向け、野党の自民党が政策論で戦う姿勢を充実させることも同時に求めたい。

(2010/01/03 10:33 更新)

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