<新年企画 拓(ひら)く>「日本一」への挑戦 アイデアで競い合いを
「とら年」の2010年はどんな年になるのだろうか。一昨年秋の米国・大手投資信託会社倒産で始まった世界を覆う不況。景気低迷や雇用不安は収まっていない。
激動の1年を振り返って、何か希望は見えてこないか。試しに当社のデータベースで「日本一、市町村」のキーワードで検索したら、意外にも40件近くヒットした。
一番多いのはやはり春夏の甲子園で準優勝、ベスト4まで進出した花巻東高。西武入りした菊池雄星投手の記事が圧倒的に占める。県民の期待の大きさを物語る。
県民栄誉賞や花巻市の市民栄誉賞、岩手日報体育賞受賞など、県民はどれほど励まされただろう。スポーツ部門では女子マラソンの那須川瑞穂選手や高校重量挙げ、山岳競技などの活躍も光った。学芸部門でも高校文芸コンクールや岩手高2年中川慧梧君の「将棋日本一」があった。
若い人たちの活躍が光った。次世代の「日本一」は心強い限りだ。新しい風に大人も負けてはいられない。
「日本一思いやりがあるサービス」の提供を呼び掛けた「三陸鉄道を勝手に応援する会」会長の草野悟さん(59)は三鉄開業25周年を記念し、三陸海岸ゴルフまつり開催や地元産雑穀、日本短角牛、ヤマブドウなどを使った三鉄の非常食企画にも携わった。
雑穀をはじめ短角牛、ワカメ、ホップ、リンドウ、木炭、生漆など農林水産物の「日本一」はたくさんある。本県の食材には定評がある。
「日本一もちつき大会」を標ぼうする一関商工会議所花泉支所の企画も話題となった。うまいもの、うまい酒、うまい水などを大いにPRしたい。岩手の「日本一」をもっと広げたい。口べたや控えめな県人気質は返上したい。
これからはアイデアで勝負する時代だ。鳩山政権に交代して従来の補助金行政から、使い道を地方に任せる一括交付金制度に切り替わる。地方が自らの責任と裁量で取り組む「地域主権」の政治が本格的にスタートする。
田野畑村は「子育て環境日本一」を目指し、新年度からすべての園児の保育料を無料化するという。小さな村の大きな挑戦と歓迎したい。
1日付で宮古市と合併した川井村は「森林力日本一だ」と、みどりを守り育てる岩手県民会議会長の村井宏さん(80)は日報論壇に投稿した。地球温暖化で森林に対する期待は高まる一方だ。同じ山村の葛巻町は「ミルクとワインとクリーンエネルギーの町」で全国に名をはせる。
雇用創出や交流人口の拡大を探るアイデアをもっと競い合いたい。
宮沢徳雄(2010.1.1)
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