2010年1月16日(土) |
政権交代後、初めてとなる通常国会が18日から始まるのを前に15日、政界に激震が走った。 東京地検特捜部は小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる問題で、2004年当時事務担当だった元私設秘書の石川知裕衆院議員らを政治資金規正法違反容疑で逮捕した。 鳩山政権は通常国会で、09年度第2次補正予算案、10年度予算案の早期成立を図り実績づくりを急ぐ考えのようだ。 しかし、石川議員らの逮捕に加え、鳩山由紀夫首相の偽装献金問題もあって、国会は波乱が避けられそうにない。 小沢氏は土地購入に絡む巨額な資金について、これまで説明責任を果たしていない。首相の説明に国民の多くは納得してもいない。民主党2トップが抱え込んだ「政治とカネ」に関する疑惑は、野党の集中砲火を浴びそうだ。 今月4日の年頭記者会見で鳩山首相は「初心にかえり国民のための新しい政治をつくり上げる。正念場の一年だ」と述べた。まさにその通りで、政権運営にも大きな影響が出そうだ。 与党は予算審議を通じて公立高校の授業料無償化、子ども手当支給開始など目玉政策に道筋をつけて政権交代の果実を印象づけたいところだ。一方、外交問題などでは政権を担う力量があるのかどうか、国民の厳しい視線にもさらされることになるのではないか。 政権奪還への足掛かりを探る自民党にとっても、政権の受け皿たりうるのか厳しい目が向けられる国会になる。党再生を目指す現状は、生やさしいものではない。国会議員の離党が相次ぎ、党の支持率は低迷したままだ。これまで支持してきた団体の自民党離れも進んでいる。 国会論戦で政府を追及する材料は多い。「政治とカネ」問題のほかに米軍普天間飛行場移設問題、景気対策、民主党公約の見直しなどだ。 鳩山政権に痛烈な打撃を加え、国民を引きつけることができるのか試練でもある。それができなければ、苦境脱出への道は一層遠くなると覚悟するほかないだろう。 発足当初は70%を超えていた鳩山内閣支持率は、昨年末に40%台に急落。直近の調査では50%とほぼ横ばい。政権交代がもたらした期待を何とかつなぎ留めている格好になっている。 首相は深刻な経済情勢について「景気が二番底になってはいけない」と強調するが、雇用やデフレなど状況は予断を許さない。機敏に対応できるか経済運営の手腕が問われている。 日米同盟の核心にかかわる普天間問題の取り扱いで政府は迷走した。首相が言うように、5月までに沖縄県民にも米国にも理解してもらえる結論が出せるのだろうか。 米国は、先の外相会談でも、現行の日米合意を履行するように重ねて要求してきた。日米関係に揺らぎを生じた外交政策の立て直しを急ぐべきである。 今国会が終了すれば、参院選が控えている。与野党は正々堂々とした論戦と真剣な審議を通じて、有権者に判断材料を提供する責任がある。 |