2010年1月15日(金) |
小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」が2004年に取得した土地の購入原資4億円が、政治資金収支報告書に記載されていない問題で、東京地検特捜部は小沢氏側と大手ゼネコン・鹿島の東京本社などを政治資金規正法違反の疑いで一斉捜索した。 特捜部が行った参考人聴取の要請を、小沢氏が拒否する姿勢を取り続けたことを受けた対応とされる。 同法違反容疑で事情聴取を受けてきた陸山会事務担当の石川知裕衆院議員は、原資不明の4億円は現金で小沢氏から受け取り、陸山会の土地購入代(3.4億円)に充てたと説明。その際、単純ミスで収支報告に記載しなかった−と主張している。4億円は紙袋に分け渡されたとも供述した。 だが、この土地購入をめぐる金の動きが複雑かつ不可思議なものだったことが明らかになった。原資不明の4億円の流れと並行させる形で、陸山会は定期預金を担保に銀行から小沢氏個人名義で同額の4億円の融資を受け、政治資金収支報告書にはこの定期預金と融資のみを記載していた。 特捜部はこうした資金操作は、小沢氏からの原資不明の4億円を土地購入に使ったという事実を隠し、また偽装するために行われた行為との疑いを強めているとされる。 小沢氏が拠出したこの簿外の4億円の原資は、一体何なのか。あるいは調達先というものがあったのか。 石川氏を含め小沢氏側が複雑な資金流動の本当の意味を明らかにしなければ、疑惑は深まる。4億円の素性解明は簡単にはいかないことも予想される。が、捜査が全容を明らかにできるかが今後の焦点だ。 土地購入の経緯を知る立場にあるはずなのは、小沢氏自身だ。だが、「意図的に法律に反するような行為はしていないと信じている」と強調、捜査中であり弁護士に任せている−を理由に一切、言及していない。 問題をめぐる石川氏の不記載による政治資金規正法違反容疑は、仮に原資不詳であっても一般的には立件可能といえる。が、その解明をする必要があるとみて強制捜査に入った。 今回の土地購入に関する政治資金規正法違反(不記載)の公訴時効は3月。小沢氏への返済を含め総額8億円が立件対象ともされる石川氏だが、万一、小沢氏の指示や関与が判明した場合は、同氏にも違反容疑が及ぶ可能性もある。 そうした中、胆沢ダム(岩手県奥州市)建設下請けの水谷建設(三重県)幹部が捜査に対し、工事に参入するため小沢氏側に5千万円を2度、計1億円を裏献金したと説明したとされる。うち5千万円が土地購入の時期に重なるという。 元請けの大手ゼネコン・鹿島の東京本社や東北支店(仙台市)個人宅への捜索で、どのような事実が出るかは現状では不明だ。あるいは、この延長上に何らかの問題が浮上するのか。 いずれにせよ、土地問題では不信と疑惑が噴き出した。小沢氏側のこれまでの説明はほころびが目立つ。民主党の実力者である小沢氏はあらためて問題について説明する責任がある。 そうでなければ、政治とカネをめぐるこの混乱は、国会内外で続く。 |