2010年1月14日(木) |
海上自衛隊がインド洋で行っている外国艦船への給油支援活動が新テロ対策特別措置法の期限切れで15日で終了、海自艦船が撤収する。「テロとの戦い」の一環として2001年9月の米中枢同時テロと米軍など多国籍軍のアフガニスタン攻撃を受け、同年12月に始まった給油支援活動は8年で終止符を打つ。 「戦時」の海への初めての自衛隊派遣活動として論議を呼んだ給油活動も、旧テロ特措法の期限切れで一時は停止。新テロ特措法の成立で再開されたものの、政権交代で終了することになった。 活動打ち切りについては、人的貢献から20年前の「小切手外交」に逆戻りではないか、との懸念も出ている。湾岸戦争で当時の自民党・海部政権が130億ドルもの巨額の支援を行ったにもかかわらず、人的貢献をしなかったため国際世論の厳しい批判を浴びた経緯があるからだ。 この8年間に派遣された補給艦、護衛艦など海自の艦船は延べ73隻、人員は延べ1万4千人。ピーク時には米英など11カ国の艦船に燃料や水を補給してきた。活動の中心はテロリストの移動や資金源を断つために多国籍軍が実施する海上阻止行動の支援で、麻薬密輸や武器の取り締まりで成果を挙げてきた。 日本の存在が見える形で続けられてきた給油活動も最近は少なくなり、オバマ政権が現状打開の出口戦略として年末に兵力増派を打ち出したように、日本もこれまでの活動を見直す転換期に来ていた。 鳩山首相は昨秋の民主党政権発足と同時に、年明けの新テロ特措法の期限切れに伴う派遣部隊の撤収を表明。海自撤収の代替策として5年間で総額50億ドルのアフガン政権への民生支援策を発表した。これを受けて長島防衛政務官が渡米し、国防省幹部と会談したが米国側も民生支援強化に大きな期待を示した。 アフガン情勢は反政府勢力タリバンや国際テロ組織アルカイダが攻勢を強め、泥沼の内戦が続いている。内戦の沈静化が先決だが、インフラなど経済基盤の整備や教育、医療などの再建が急がれている。 鳩山首相は日本の貢献を外からの側面支援から、アフガン本土の復興支援に絞ることを強調してきた。日本の判断で、民生支援に重点を移すことは十分に理解できる。給油活動からは撤退するが、本土の復興を中心に実質的な貢献策に取り組むということだ。国外から国内へ、直接支援に転換することは評価していい。 日本の50億ドルに上る支援策は、治安能力を高めるための警察支援、元タリバン兵の社会復帰を促す職業訓練、自活への農業基盤整備など社会資本の整備が大きな柱となる。要はいかに実行していくかである。 カルザイ政権は先の総選挙で再選されたが、もともと政治基盤は弱く、汚職・腐敗体質も指摘されており、支援そのものをきちんと行き渡らせるのは容易ではないだろう。しかし、新しい国づくりにとって民生の安定は必要不可欠。国民の期待も大きい。日本は国際組織などと連携して支援態勢を構築し、できることからしっかり実行に移してほしいものである。 |