2010年1月13日(水) 東奥日報 社説



■ 県民の誇り、次こそ頂に/山田高サッカー準V

 参加は県内66校を含め4175校を数える。すそ野が広い2009年度全国高校サッカー選手権大会の頂に、山梨県代表の山梨学院大付が登り詰めた。本県代表の青森山田は、あとひと息のところで惜しくも届かなかった。

 この大会で最もいい成績を残した県勢は、9年前に4強入りを果たした青森山田だった。その歴史を塗り替え、県勢として決勝に臨み、準優勝に輝いたのは初めて。スタンドやテレビの前で声援を送った県民にとって大きな誇りと言える。

 胸を張って戦った選手たちが、胸を張って凱旋(がいせん)してきた。

 今回レギュラー出場した選手のうち5人は2年生。その後輩らに託された、県勢初優勝という悲願の頂に次の大会で立ってほしい。ほかの県内各校は、打倒・青森山田を目標に練習に励んでほしい。

 青森山田は、9年前の活躍や、5年前の全国高校総体(インターハイ)で日本一になるなど強豪校として知られるようになった。ところが、最近数年はこの大会では3回戦止まり。07年度、08年度はともに初戦で敗れ去っている。

 今回は、2回戦で09年のインターハイ8強の科学技術(兵庫)に快勝して初戦を突破し、3回戦の壁も破った。関大一(大阪)との準決勝では最終盤で同点とされ、PK戦に持ち込まれたものの制した。

 決勝では、動きが硬かった序盤に先制点を許した。追加点は許さなかったが、同点シュートが何本も阻まれた。06年度に優勝した盛岡商(岩手)以来の東北勢の制覇、最も北の優勝校の誕生という快挙の寸前、力尽きた。でも、本県にとって新年早々の“さわやかな贈り物”になった。

 今大会でメンバー登録した25人のうち本県出身の選手は9人。近年にない多さという。その選手が大舞台で活躍したり頑張ったことで地元は応援で盛り上がり、サッカー少年にとって、いい刺激になった。

 青森山田は、グラウンドが雪で覆われる北国のハンディを乗り越え、県内のチームも県外と互角かそれ以上に戦えるとあらためて示した。このことで、サッカー関係者だけでなく、雪の中で暮らす県民も元気をもらったのではないか。

 この大会で1997年度から青森山田を13年続けて県代表に導き、山田中からの中高一貫教育ができる強みも生かして選手を育て、チームを鍛えてきた黒田剛監督の熱意、指導力に拍手を送りたい。

 この大会とほぼ同じ年末に始まった全国高校ラグビー大会に出た本県代表の青森北は初戦で引き分け、抽選負けで涙をのんだ。

 だが、年明けの箱根駅伝では、本県出身かつ青森山田出の3選手の快走が東洋大の総合優勝、城西大の総合6位につながった。

 サッカーでは、この大会の県予選決勝で青森山田に敗れた五戸高が出身の手倉森誠さんが監督、双子の弟の浩さんがヘッドコーチを務めるベガルタ仙台がJリーグ2部で優勝し、チームを7季ぶりにJ1に復帰させている。

 今回の青森山田の準優勝は、そんな話題とも重なって、県民の心を明るくしてくれたのではないか。


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