2010年1月12日(火) |
五所川原市中心部・大町2丁目地区土地区画整理事業の進ちょく率が2009年度末で82.4%に達するという。事業は終盤を迎えているはずだが、新たな街並みはなかなか見えない。 土地区画整理では建物を取り壊した上、道路や上下水道などインフラ整備を先行させるため、形が見えにくいという事情は分かるが、市の真ん中にがらんとした空間が目につく。市民アンケートなどでも本当に新しい街並みができるのか、不安の声が聞かれる。 市は「(地権者の)66.6%に建設計画がある」と自信を見せるが、後継者難などから新店舗の建設に踏み切れない経営者もいる。 大町一帯はかつて大型店が立地し、中心商店街として栄えた。ところが郊外型ショッピングセンターの影響などで空洞化が著しい。 市は土地区画整理事業について「中心市街地の商店街再生と都市基盤整備を同時に進められる」と議会で繰り返し答弁している。 確かに街路など基盤整備は進むが、中心商店街を再生できるかは微妙だ。 事業は04年度から10年間の予定だが、エルムの街やイオンモールつがる柏など周辺で着々と商業集積が進んでいる。景気低迷も長引いている。市中心部に新たな商業の核をつくり出すのは容易ではない。 12月の市議会定例会で平山誠敏市長は「商店街というより、新しい形のにぎわいの場として市民や観光客がゆったりと散策できる街にしたい」と答弁したが、大町2丁目は市の観光ゾーンと位置付け、立佞武多(たちねぷた)の館を中心に関連施設を張り付けたい。東北新幹線新青森駅開業を控え、魅力ある施設の集積に土地区画整理事業を有効に活用するべきだ。 幸い大町にある立佞武多の館は順調と言っていい。09年度も11月まで8カ月の入館者は対前年比115%と好調を維持している。 ただ立佞武多の館を訪れる観光客は大型バスなどで直接、館に乗り付け、見学後はそのまま別の施設に向かう場合が多い。年間15万人もの観光客が館を訪れながら、街中を歩かないためにぎわいが生まれない。 NPOおおまち第2集客施設整備推進協議会は第1集客施設といえる立佞武多の館に対し、大町地区にある太宰治ゆかりの蔵を新たな集客施設として活用する計画を進めている。 蔵は育ての親ともいえる叔母の自宅で、太宰も寝泊まりした。NPOは蔵を記念館にして観光客が二つの施設を行き来すれば、街が活気づくと期待している。 五所川原市商店街振興組合連合会は4月から市の指定管理者として立佞武多の館の運営に当たることになった。連合会は大町と中央通りの2商店街振興組合で組織し、誘客イベントなどを計画しているという。商業者が観光施設や大町の街づくりに直接かかわる動きとして注目していきたい。 昨年、市内に「布嘉(ぬのか)屋」や吉幾三コレクションミュージアムなど新たな施設がオープンした。 布嘉屋は富豪・佐々木嘉太郎の豪邸を縮小し復元した「布嘉御殿」を展示しているが、これら施設を大町2丁目に集約できれば、中心街の魅力が増す。民間施設だが、検討できないか。 |