2010年1月9日(土) |
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」が土地取引に充てた資金をめぐる問題で、東京地検特捜部が小沢氏本人から任意で事情を聴く方針を固め、小沢氏は応じる意向を示しているといわれている。 政権党の「最高権力者」と目されている小沢氏への事情聴取は、18日から始まる通常国会での予算案審議などへの影響が避けられないだろう。 聴取に踏み切る検察は十分な捜査をすべきである。小沢氏には、土地購入資金問題について検察に対してばかりでなく、国民に対しても納得できる説明をするよう求めたい。 小沢氏が代表である陸山会は、2004年10月に東京都世田谷区の土地を約3億4千万円で購入した。当時陸山会の事務担当で小沢氏の秘書だった石川知裕衆院議員は、購入資金など4億円以上を04年分の政治資金収支報告書に記載せず、政治資金規正法違反の疑いを持たれている。 石川議員はこれまでの任意聴取に対して、報告書への不記載を認めたうえで、小沢氏から土地の購入の指示を受け、資金が足りないため小沢氏から貸付金名目として現金4億円を受け取った−と供述しているとされる。 小沢氏側は4億円について「定期預金を担保にした融資金を充てた」と説明していたが、実際は融資を受ける直前に小沢氏の手持ち資金で支払いを済ませ05年分の収支報告書に記載していたことが分かっている。 この問題では陸山会が土地購入資金のほか、07年に小沢氏に返済したとみられる4億円の支出など計8億円以上の収支を報告書に記載していないことも明らかになっている。 小沢氏への参考人聴取は石川議員の供述を裏付けるのと、資金の流れを明確にするうえで不可欠、と特捜部が判断したためではないか。当然のことである。 報告書への不記載を小沢氏本人が認識していたのかどうか。資金の原資は何だったのか。資金の調達がどのように行われたのか−など検察当局ばかりでなく、国民も大いに関心を抱いている。 収支報告書に記載しなかったことについて石川氏は「単純ミス」と言い、「私がやったこと。小沢先生は知らなかった」と説明しているという。 だが、巨額な資金が動いていることを、単純ミスで済ませられるのだろうか。一般的には合点のいかないことである。カネの出所を隠そうとしたのでないかと疑いたくなる。 受け取った現金4億円を複数の政治団体の口座に分けてから陸山会に集めて、土地の売り主に送金したとされる点も不可解で不自然なことだ。 西松建設の献金事件で公設秘書が逮捕された際に、小沢氏は自らの政治資金について「すべて法にのっとって報告し、オープンにしている」と透明性を強調。「不公正な権力の行使という感じを持つ」と検察を批判していた。 国民が納得したとはいえない鳩山由紀夫首相の「偽装献金」に続く小沢氏の資金問題。「政治とカネ」の疑惑がこれ以上尾を引かぬためにも、小沢氏は説明を尽くす必要がある。 |