2010年1月6日(水) |
2009年に県内で交通事故で亡くなった人は、前年より12人少ない50人だった。県警が今の方法で統計を取り始めた1966年以降では最も少なかった。 死者はこの年から100人を超え続けた。04年も103人だが、その後は2けたに。この5年間でほぼ半減、急減した。最も多かったのは72年の238人だから約2割にまで減った。もっと減らしたい。 警察庁がまとめた全国の09年の交通事故死者も、前年より241人少ない4914人。4千人台になったのは57年ぶりという。過去最悪だった70年の1万6765人に比べると3割弱になっている。 交通事故が急増した70年代は、車が一般に普及した時代と重なる。当時の全国の死傷者は、全国民の1%に当たる100万人に達しようとしていた。 死者のほか事故の後遺症に苦しむ負傷者、家族を失った悲しみも生活への影響も大きい遺族が増え「交通戦争」という言葉も語られた。そうした状況に決して戻さないようにしたい。 心配なのは、死者に占める65歳以上の割合が高いことだ。09年は全国で49.9%、県内でも48.0%の24人と半数近い。24人のうち17人は歩行者だった。 注意力や行動力が衰えがちな高齢者の命を事故からいかに守るか。高齢化社会が一層進んでいくだけに、手だてを急ぎたい。 全国、県内とも死者の数だけでなく事故発生件数や負傷者の数も減っている。さまざまな対策や取り組みを積み重ねてきた相乗効果によるものだろう。 飲酒運転への罰則を厳しくし、飲酒、速度違反、無免許といった悪質で危険な運転の取り締まりにも力を入れてきたことで、交通ルールが以前より守られるようになったとされる。 シートベルト着用やチャイルドシート使用などの安全対策、エアバッグ装着車の普及による車の安全性向上、事故が多発する道路の環境整備、地域の団体の安全運転呼びかけ活動なども実っているようだ。 1日付本紙は、09年10月に佐井村で事故に遭った県外の高齢者が大間町の大間病院で手当てを受けた後、ドクターヘリで八戸市民病院に運ばれて命を救われたことを伝えた。救急救命体制の充実も死者の減少に役立っている。 だが、患者を搬送中の救急車が3日、鶴田町の県道交差点でトラックと衝突・横転して4人が負傷し、救急車の外に投げ出された患者が亡くなった(死因は病死)。5日には、青森市の国道で高齢の女性が軽自動車にはねられ、今年初の事故による犠牲になった。 年末年始の休みが終わって社会が本格的に再始動した。凍結した路面でスリップする、積もった雪で道が狭くなる、吹雪で前がよく見えないなどから事故が多く起きる時期でもある。 県警は、09年12月の冬の交通安全運動中に取り締まりを行った。その結果、飲酒、速度、信号無視の各違反で摘発した件数が前年同期よりも多かった。 こんな違反はもちろん許されないし、急なハンドル操作や一瞬の気の緩みも大きな事故につながる可能性がある。冬こそ無理しない安全運転を心掛けたい。 |