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きょうの社説 2010年1月19日
◎学力テスト「全員」へ 地方の判断、国も後押しを
今年から抽出調査に変わる全国学力テストで、石川県は全19市町、富山県でも未決定
の2市町を除く13市町村の教委で「全員参加」を続ける方向になったのは、抽出方式では地域や学校ごとの学力を正確に把握できず、授業改善の取り組みには不十分と判断したからだろう。文部科学省が抽出校以外にも問題を提供するのであれば、そうした仕組みを最大限に活用すればいい。4月実施の全国学力テストでは小中学校の抽出率が31.6%にとどまり、石川県では 40.7%、富山県では38.8%となった。抽出校以外の採点、集計業務は各学校、教委の負担となり、これまで国が一律的に担ってきたことを考えれば納得しがたい面もある。 石川県のように全教委が全員参加で足並みをそろえる動きは、隣の福井県でもみられ、 国の方針と異なるからといって文科省も無視できないだろう。全員参加に踏み切る教委からは、活用問題での採点にばらつきが生じる懸念なども出ている。文科省には、採点基準や集計ノウハウの提供など、地方の判断を尊重した積極的な後押しを求めたい。全員参加の動きが広がっていけば、抽出調査の見直しを迫られることにもなろう。 文科省は年末に小6、中3を対象にした全国学力テストの新たな実施要領を公表し、抽 出校以外でも希望すれば問題用紙を配布する方針を示した。これを受け、石川では全市町、富山県でも13市町村教委が全員参加を希望し、富山市、朝日町でも前向きに検討している。全国学力テストを契機に、両県では授業改善プログラム策定や大学との連携強化が進み、学力向上策の幅が格段に広がった。そうした機運をしぼませないためにも全員参加の継続は望ましい選択といえる。 文科省は都道府県別の調査結果は従来通り公表するものの、都道府県に提供してきた市 町村別、学校別の集計は取りやめる。採点や集計業務を地方が担うなら、より主体的にデータを活用でき、児童、生徒に結果を早く還元できる利点もある。県教委は各教委と連携し、必要な現場支援策を講じるとともに、貴重なデータの有効活用を考えてほしい。
◎内閣支持率急落 自浄能力を示せるのか
国民の側からすれば「堪忍袋の緒が切れた」といったところだろう。あれほど高かった
鳩山政権の支持率がついに不支持を下回った。閉塞感漂う日本の政治・経済状況の打破を期待し、多少の失敗には目をつぶってきた国民も、小沢一郎民主党幹事長の「政治とカネ」をめぐる問題には、心底あきれ果てた。内閣支持率41.5%、不支持44.1%という数字には、そんな怒りが込められているように思える。残念なのは、声高に検察批判を繰り返す小沢幹事長をたしなめ、批判する声が民主党内 からほとんど聞こえてこないことだ。鳩山由紀夫首相は小沢幹事長に対して「どうぞ、戦ってください」と述べ、党大会では「臆することなく身の潔白を証明し、職務を遂行するよう要請」した。検察も含めた行政の長たる首相として、あまりにも軽率で不見識な発言だ。支持率回復は、民主党自身が自浄能力を示せるかどうかに懸かっているが、現状を見る限り、期待薄と言わざるを得ない。 小沢幹事長は、土地購入資金の出所について、わずかに「積み立ててきた個人の資金」 と語ったのみである。どのように貯蓄してきたのか、なぜ複雑な資金移動をしてまで土地を買う必要があったのか、などの疑問に答えていない。説明を尽くさず、「不正なお金は使っていない」とこぶしを振り上げても説得力がない。 共同通信社の世論調査では、小沢氏の説明について「納得できない」が86.0%、「 納得できた」は6.3%に過ぎなかった。「幹事長を辞めるべきだ」「議員辞職すべきだ」の合計が73.3%に上ったのも当然の帰結といえる。 民主党にとって、最大の衝撃は今夏の参院選比例代表での投票先について、民主党が2 8.4%、自民党が24.7%と小差に迫られたことだろう。これまで内閣支持率が右肩下がりでも、民主党への支持率はあまり下がらなかった。政党支持率の急落は、小沢幹事長に鼻面をひきまわされても、文句一つ言えない民主党の情けない姿に、国民が愛想を尽かし始めたからではないのか。
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