|
きょうのコラム「時鐘」 2010年1月19日
まだ57歳、元プロ野球投手の小林繁さんの死が惜しまれる。「ご近所」の福井にお住まいとは知らなかった。球場外の騒ぎでも名を残した人である
巨人軍が江川卓投手をごり押しで入団させ、非難を浴びた。結局、身代わりとして球団を出たのが小林さんで、理不尽な決定に潔く従い、男を上げた。当時の監督は長嶋茂雄さん。悲報に接して「悪いことをした」という談話が紙面に載った。30年以上も前の騒ぎだが、江川さんは「申し訳ないという気持ちは一生持ち続ける」と語った ルールがあれば、そのスキを突くたくらみが起きる。球界に限った話ではない。清濁併せのむ。それが世間なのであろう。濁りには、すぐに癒える小さなウソも、いつまでも心を責める背信もある 濁ったカネという疑惑が、政権を直撃している。のんだのは清いカネ、と本人や周囲は主張する。真相はまだ分からないが、濁りが発するような不快なにおいが強く漂う もし濁ったカネをのんだのなら、当事者の悔いは大きかろう。話はそれでは済まない。彼らを選ぶ結果に至った私たちも、苦い思いを味わうことになる。 |