小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」による土地取引をめぐる政治資金規正法違反容疑事件で、取引に預金を担保にした融資を組み込んだのは、2007年に4億円を小沢氏に戻す際、「表」の資金にするための工作だった疑いがあることが、東京地検特捜部の調べでわかった。
04年の東京・世田谷の土地代金4億円は原資を隠した「裏」の意味合いがあったが、07年の同額の支出は資金管理団体からの資金ということになり、小沢氏の個人資金として戻った。特捜部は、「資金洗浄」の手法の疑いがあるとみている模様だ。
陸山会は1994年以降、他にも14件の不動産を購入。うち5件は、世田谷の土地取引と同様に預金を担保に融資を受ける手法をとっており、特捜部はこれらの不動産購入にも、資金洗浄の狙いがなかったか調べている。
特捜部の調べでは、事務担当者だった元秘書の衆院議員・石川知裕(ともひろ)容疑者(36)=同容疑で逮捕=は04年10月29日、陸山会に分散入金した原資不明の4億円を使い、東京・世田谷の土地を約3億5千万円で小沢氏名義で購入した(図〈1〉〈2〉)。小沢氏側はこの原資を「父親から相続した個人資産」と説明した。
しかし特捜部は、この購入資金に、ダム工事受注に絡むゼネコンからの裏金が含まれる疑いが強いとみて捜査。陸山会はこの原資を隠すため、同日中に4億円の定期預金を組み、それを担保に借りた融資を土地代金として支出したように装ったとみている(同〈3〉〜〈6〉)。
一方、陸山会が05年と06年、定期預金を2億円ずつ崩して小沢氏に支出していたことが新たに判明。特捜部は銀行への返済に充て同〈5〉を完済したとみている。
この結果、本来の借入金4億円(同〈6〉)は使われないまま陸山会内部で留保され、07年になって小沢氏に流れた(同〈7〉)。
世田谷の土地代金4億円(同〈1〉)が収支報告書に記載できないため、07年に同額を戻した時も記載しなかったが、仮に資金の由来を追及されても、資金管理団体からの資金と説明できることになる。