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【プロ野球】

小林繁さん急死 反骨のサイドスロー

2010年1月18日 紙面から

因縁の後楽園球場での巨人戦で、帽子を飛ばしながら力投する阪神時代の小林さん=1980年、後楽園球場で

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 プロ野球の巨人、阪神でエースとして活躍し、現日本ハム投手コーチの小林繁氏が17日、心筋梗塞(こうそく)のため福井市内の病院で急死した。57歳だった。プロ野球界を揺るがす大騒動に発展した1978年の「江川事件」で、小林氏は江川卓投手(現解説者)の交換要員として巨人から阪神に電撃トレードされ、1年目に22勝で最多勝を獲得。通算139勝を挙げ、右サイドスローの独特な投球フォームでも人気を集めた。日本ハムでは今季から1軍投手コーチに就任したばかりで球界に衝撃を与えた。

 小林氏の訃報を受け、因縁のあった元巨人の江川卓氏(54)は17日夜、東京都港区の日本テレビ内で会見を開き、「突然のことでびっくりした。CMをきっかけに話ができたのはホッとしたが、申し訳ないという気持ちは一生消えない。一生持ち続ける」と神妙な表情で語った。かつての騒動は今もぬぐえぬ負い目となっているようだ。

 入団2、3年目に偶然、小林氏とレストランで顔を合わせ、あいさつに行こうとしたら「来なくていい」と手で制されたという。それ以降は「お互いに避けているようなところがあったかも」と、ほとんど言葉を交わすことはなかった。

 事件から28年後の07年秋、2人は清酒メーカーのCMで初共演した。撮影では約1時間、2人だけで語り合い、「その時『お互い大変だったな』という言葉を掛けてもらい、すごくホッとした」という。だが、その後は再び話す機会はなく、撮影帰りに控室でかけられた「元気でやれよ」という言葉が、最後となった。

 会見終了後、自らキャスターを務める日本テレビ系番組「SUPERうるぐす」に生出演。約30分にわたり、小林氏の思い出を語った。「もう一度小林さんと会うことができたら」と聞かれ、江川氏は「もう一回、投げ合ってみたいですね。全力で…」と沈痛な面持ちで語り、生前の小林氏を偲んでいた。

 

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