小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の2004年の土地取引をめぐる政治資金規正法違反事件で、小沢氏が土地代金に使われた4億円の原資と説明した「個人資金」について、小沢氏が衆院議長あてに提出した資産報告書には、該当する預貯金(当座預金と普通預金などを除く)の記載がないことがわかった。
小沢氏が説明する金融機関の口座やその資金があったことは事実だが、どのように保有していたかなどは不透明な状態になっている。18日召集の通常国会で、小沢氏に説明を求める声が強まるとみられる。
一方、東京地検特捜部は、小沢氏が拒否し続ける参考人聴取を17日に再要請した。土地購入原資の解明のためには、小沢氏の説明が不可欠としている。
小沢氏は16日の党大会で、土地の購入原資について、「私が蓄えてきた個人資金。何ら不正なお金を使っているわけではない」と強調。特捜部にも金融機関の口座を伝えたことを明らかにした。
また、陸山会の事務担当者だった元秘書の衆院議員・石川知裕(ともひろ)容疑者(36)=政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕=は調べに対し、「小沢氏が父親からもらって信託銀行に預けていた個人資産を、バブル経済がはじけた後、1998年ごろにおろし、自宅で保管していた金だ」と供述したとされる。
国会議員の資産報告書は、各選挙後に提出され、93年から公開が始まった。しかし、小沢氏は93年分から直近の提出となる05年分まで、「預金」「貯金」「郵便貯金」「金銭信託」についてはすべて「該当なし」と申告している。
当座預金と普通預金については記載する必要がないが、小沢氏の父の小沢佐重喜・元建設相が死去したのは68年。銀行関係者は、利回りが低い普通預金に4億円もの資金が約30年間も預けられていたとは考えにくいとしている。また、金融機関からおろした後、多額の「タンス預金」を長年保管することも不自然との指摘が出ている。