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小沢氏資金問題 単純ミスでは済まない(1月10日付) | |||
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐり、不透明な資金の操作が浮上している。東京地検特捜部は小沢氏本人から任意で事情を聴く方針で、小沢氏は応じる意向という。政権党の「最高実力者」の聴取であり、通常国会での予算案審議への影響は避けられそうにない。国民が納得のいくような捜査が望まれる。
西松建設の献金と知りながら、陸山会の収支報告書などに虚偽記載をしたとして昨年3月、政治資金規正法違反で公設秘書を逮捕・起訴した際、検察は小沢氏の聴取を見送った。規正法上の監督責任を問えないと判断したとされるが、政権をうかがう野党第1党の党首を相手に慎重に構えたことも否定できない。
だが今回は状況が違う。これまでに分かった事実関係を整理すると、こうなる。
小沢氏の指示で陸山会の会計責任者だった公設秘書(西松事件で公判中)が都内で秘書寮用地を探し、当時事務担当だった石川知裕衆院議員が経理処理を任された。2004年、石川氏は小沢氏から現金4億円を受け取り、土地購入に充てたとされる。これは、その年の収支報告書には記載していなかった。
この4億円は3年後に陸山会から小沢氏に返されたが、これも記載されていない。小沢氏側は当初「定期預金を担保に金融機関から4億円を借り、購入に充てた」と説明したが、うそだったことになる。
4億円をはじめ計8億円以上の出し入れを収支報告書に記載していなかった規正法違反の疑いが持たれている石川氏らの聴取から、購入の指示や資金調達で小沢氏本人の関与が浮かび上がった。しかも、単なる「不記載」で片付けるにはあまりにも不可解、不透明で、検察が小沢氏の説明が不可欠と判断したのは当然だ。
西松事件で公設秘書が逮捕された時、小沢氏は自らの政治資金について「すべて法にのっとって報告しオープンにしている」と胸を張り、透明性を強調した。その上で、寄付者も献金額もちゃんと記載しているのに、本当の寄付者ではないと「こじつけたような理由」で摘発したと検察批判を展開した。では、今回の土地購入資金はどうなのか。
石川氏は検察に、購入資金の入出金を収支報告書に記載しなかったことを認めている。「単純ミス」だそうだ。小沢氏側から出たコメントもそうなっている。しかし、常識的に4億円という巨額なカネを単純ミスするとは考えられない。どう見ても、カネの出所を隠そうとしたとしか思えない。「単純ミス」ではだれも納得しない。
さらに石川氏は関係者に「小沢氏と直接、電話やメモでやりとりすることもあった」と話していたという。具体的にどんなやりとりをしたのか。そして、最も肝心なことだが、石川氏に渡した4億円はどういうカネなのか。建設会社が小沢氏側に1億円の裏献金を渡したとの疑惑まである。
鳩山由紀夫首相の偽装献金問題もあり「政治とカネ」の問題が尾を引いている。小沢氏が語ることなしに、それが収束に向かうことはない。小沢氏には検察に、そして国民に丁寧に説明することを求めたい。(横尾章) |
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