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阪神大震災15年/対策遅れや意識の低下心配(1月16日付)
阪神大震災から17日で15年になる。震度7の激しい揺れで多くの建物が倒壊、火災も相次ぎ犠牲者は6400人を超えた。
地震は活断層のズレで起きる。地中での活動なので、あらかじめ予知することはかなり難しい。実際、2000年の鳥取県西部地震、08年の岩手・宮城内陸地震は目立った活断層がない場所で起きた。日本はどこでも大地震が起こりうるとの認識を強め、行政や地域、家庭が一体となって地震に備えなければならない。
阪神大震災は救急救助態勢、生活物資の確保、被害者のケアなどに多くの教訓や課題を残した。建物の耐震性もその一つ。阪神大震災では、犠牲者の約8割は家屋の倒壊や家具の下敷きによるとされている。
このため、新築住宅は耐震性が強化されたが、問題は古い木造住宅。県は旧建築基準法で建築された1981年5月末日以前の木造住宅を対象に市町村が実施する耐震診断に補助を出している。しかし、08年度末での県内診断は673戸どまり。市町村にもよるが、個人負担はほとんどないだけに診断制度を積極的に利用し、耐震補強に生かしたい。
大きな地震の後は交通や通信が遮断され、地域が孤立する。こうなると、被害の実態がつかめず救助も遅れてしまう。04年の新潟県中越地震などでも集落の孤立が多発した。
内閣府が12日に発表した09年の全国調査では、孤立の恐れがある中山間地の農業集落と漁業集落は計約1万9200に上った。本県も計341。調査対象の全集落に占める割合は12%だったが、飲料水や食料などの備蓄がない集落は303あった。1週間程度は自活できる備蓄を集落や家庭単位で進めたい。
調査ではまた、衛星携帯電話のない県内集落も340、ヘリコプターの発着地がない集落も297に上ることなど、課題が山積していることも分かった。
県は生活物資や輸送などで106件の応援協定を結んでいるが、集落が孤立していては協定による迅速な支援も生かされない。土砂崩れなど危険個所の解消とともに、孤立を防ぐ対策を進めたい。
県民の地震に対する関心が低くなっているのも心配だ。宮城県沖地震が30年以内に起きる確率はかなり高いと指摘されているが、回答者の37%が本県で大地震は起きないと考え、8割が家具の倒壊や防災用品の購入などの対策をしていなかったとの県民アンケート調査結果もある。大地震はいつでも、どこでも起きると考え、ハザードマップなどで避難場所や避難経路を確認しておきたい。自治体も住民に対する防災情報提供の機会を増やしてもらいたい。
小中学校や病院など公共施設は、震災時の救急や対策の拠点になる。耐震化を急ぐべきだ。
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