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スポーツ展望/長期的な成長戦略描き出せ(1月15日付)
2月にバンクーバー冬季五輪、6月にサッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会開幕、11月には広州(中国)アジア大会と、今年のスポーツカレンダーはにぎやかだ。選手の躍動、ひたむきなプレーはいつも見る者をひきつける。日本中が沸き立つような活躍を期待したい。
国内では昨年、プロ野球とサッカーJリーグで新たな経営問題が持ち上がった。幅広い支持を得るプロ野球と、地域密着型のJリーグは厳しい経済状況に耐える長期的な成長戦略を構築すべきだ。両者はスポーツ文化の中心種目であり五輪やW杯など単発の競技会より市民生活との距離が近い。いつの時代も元気と希望を与えてほしい。本県でもプロ野球公式戦の一層の開催と、本県チームの早期Jリーグ入りを願いたい。
日本野球機構(NPB)は毎年約3億円の赤字に陥る危険があるという。各球団から集めている約7千万円の年会費を増額したいと球団側に求めた。ドル箱の日本シリーズが最終第7戦にもつれ込み、少しでも多くの収入につながることを祈るような弱い財務体質では、球界を力強く引っ張ることは到底できない。
各球団はエゴを引っ込めNPBをもり立てるべきだ。12球団全体での発展の戦略を編み出す努力が依然、ほとんどみられないのは残念だ。
これほど厳しい経済状況なのに大半の球団は選手年俸圧縮の取り組みに不熱心だ。他球団の動向をうかがいながらベテラン選手に2億、3億円と弾んでいる。年俸は、過去の活躍に対する報酬ではなく、翌シーズン以降の活躍が確実とみられる場合に実施する投資ととらえるべきだ。
極めて変則的な現行プレーオフ方式でいいのか、改善策を検討すべきだ。日本シリーズ同様にNPBの主催とした上で、試合数を増やしてはどうか。そうすればポストシーズンの人気向上と、NPBの財源確保を同時に達成できる可能性が開ける。
Jリーグクラブでは昨年、大分が深刻な経営危機に陥り、リーグ機構から6億円もの緊急融資を受けることが決まった。東京ヴェルディも経営につまずき、クラブ消滅をぎりぎりの状態で回避した。いずれも身の丈にあった経営を外れ、選手獲得や年俸に大枚をはたいたのが響いた。
観客増のカギを握るのは、中高年層をいかに競技場に迎えるかだ。若い熱狂的なサポーターが選手に声援を送り続ける中、少し離れたエリアで静かにじっくり試合を楽しみたいと思う熟年ファンは多い。そうした人たちが魅力に感じる環境、サービスがまだ競技場には整っていない。
次世代の若者を狙いとする市場戦略は重要だ。だが、孫と一緒に訪れるシニアの支持者を増やす努力も必要。経済低成長、高齢社会にあって本物志向の中高年ファンを大切にするスポーツの経営が求められる。
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