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   裁判員選任手続き/欠席者への対応明確に示せ(1月13日付)

 裁判員裁判に際して、裁判員選任手続きに呼び出されながら欠席した候補者への処分(過料)が裁判員法に定められたとおりになされておらず、宙に浮いている。

 時間を工面して義務を履行した人の側に義務を果たさなかった人に対する不満がくすぶり、ひいては制度の公平性が損なわれることにもなる。過料の決定は各裁判所に委ねられているが、最高裁は統一した対応を示すべきだ。

 裁判員法112条では、裁判員候補者が正当な理由なく選任手続きに出席しない場合、10万円以下の過料に処すると規定している。過料は、義務違反などに対して金銭を徴収する制裁で、刑罰の罰金とは異なり、時効もない。

 共同通信社の6日現在のまとめによると、昨年8月から年末までに50地裁(8支部含む)で行われた裁判員裁判138件の選任手続きに呼び出された候補者計5842人のうち、622人(11%)が欠席したが、過料を科せられた人はいないとみられる。

 本県で同期間に実施された3件の裁判員裁判では、選任手続きに出席義務があったのは計114人で、これに対し計16人(14%)が欠席した。特に、いわき市で起きた暴力団組員による殺人事件を審理した地裁郡山支部での県内初の裁判員裁判では、47人の候補者のうち11人(23%)が欠席した。

 この裁判の選任手続きが行われた時点で欠席率は全国最高で、年末まででも全国で3番目に欠席率が高い裁判員裁判となった。呼び出しを受ける候補者に会津やいわきなど遠方の人も含まれることや、暴力団組員が被告となった裁判を回避したいという意識が働いたとみられた。

 欠席者に過料を科していないのは、裁判所側が裁判員制度の定着のため制裁の厳格な適用を避けており、また手続きに支障をきたしておらず過料の必要はないと判断しているのが理由とみられる。だが、生じているであろう不公平感をそのままにしていると、制度への不信を生むことにもなりかねない。

 「無視できないひずみとなって制度が動揺する恐れはある。今後この問題が火種として残る可能性は否定できない」ととらえる法律の専門家もおり、放置してはおけない。

 大切なのは、最高裁がこの問題に関してどのような考え、方針を持っているのかを国民に丁寧に説明することだ。裁判官は一人一人独立しているとはいえ、各裁判所の対応がばらばらでは統一性も保てない。

 規定を慎重に運用するにしても、「裁判員法施行1年を越えたら過料を科す」「将来にわたり特異な例を除き過料を科すことはない」などと具体的に示すことが、制度への信頼を増すことにつながるだろう。

 
   
 

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