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耕作放棄地/現実的な山林への用途変更(1月12日付)
本県に次いで全国4位の面積を誇る長野県は、復元困難な耕作放棄地数千ヘクタールを山林に用途変更する方針を打ち出した。
過疎や高齢化が進む中山間地を多く抱える長野県だが、こうした事情は本県でも同じだ。農地として切り開いた土地が、耕作放棄で樹木が生い茂るなど荒廃した現実を受け止め、森として活用しようというのは、全国に先駆ける試みだ。本県の放棄地面積は全国でも有数の規模だけに、長野県の取り組みに無関心ではいられないはずだ。
耕作放棄地は5年ごとの農林業センサスでは、農作物が過去1年以上作付けされず、農家が数年間のうち作付けする予定がない、と回答した田畑や果樹園と定義されている。2005年センサスでの本県の耕作放棄地は2万1708ヘクタールと、全国最大だった。高齢化などにより、5年前と比べて7.7%も増加した。
このセンサスとは別に、農水省が08年度実施した全国実態調査では、本県の放棄地は8881ヘクタールで全国8番目の規模だった。いずれにしても本県の放棄地が全国有数の規模であることに違いない。
放棄地8881ヘクタールの内訳は、(1)草刈りや整地などで耕作可能3677ヘクタール(2)重機などを使った基盤整備で耕作可能1807ヘクタール(3)森林・原野化して農地復元不可能3397ヘクタール。
農水省は食料自給率向上のために、耕作放棄地での営農再開を進め、復元事業に取り組む対策地域協議会には交付金を与え、09年度県内では200ヘクタールの復元に向け4億2300万円が交付されている。
しかし、県内の放棄地のほとんどは中山間地の急斜面や水利が不便、地味がやせている所であり、復元しても担い手不足、採算が取れないなどの課題が残る。これらの課題が解決されない限り、いくら農地を復元してもまた荒廃するだけで、復元費用は無駄になるだけだ。
長野県によると、林野化した放棄地面積は6626ヘクタールで、このうち中山間地の4175ヘクタールについては、10年度から5年計画で、木の種類や樹齢、生育密度などを調べた上で、山林への用途変更を検討する。
調査結果に基づき、市町村農委での審議を経て、放棄地が農地から山林へと用途変更されれば、国から森林整備の補助金をもらえる見通しもあるという。
長野県土に占める森林面積比率は78%で、本県の森林面積比率は71%と条件は似ている。
森林は木材利用のほかに、温室効果ガスの吸収源として最近、特に注目されている。周辺の森と一体的に山林化した耕作放棄地が整備されれば、有害鳥獣対策にも役立つ。
本県も耕作放棄地対策の一つとして長野県の取り組みを検証する必要があるのではないか。
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