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宇宙政策/21世紀の産業にどう育てる(1月10日付)
宇宙飛行士野口聡一さんが日本人として初めて新年を宇宙で迎えた。約400キロ上空の国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」で羽根突きなどを楽しんだ。しばし正月気分を味わえただろうか。5月までの長丁場を無事に乗り切ってほしい。
そんな明るい幕開けにふさわしく今年は宇宙に関する話題が相次ぐ。金星探査機「あかつき」が打ち上げられ、小惑星への着陸・離陸という世界初の偉業を成し遂げた探査機「はやぶさ」が地球に帰ってくる。
前政権が昨年まとめた宇宙基本計画を鳩山政権がどう肉付けするか注目したい。同計画は宇宙産業を21世紀の戦略的産業に育てるとうたった。しかし厳しい国際競争の中で、その道筋が見えない。明るい展望を開く政策を期待したい。
夏に打ち上げられるあかつきは日本で初めての金星探査機。金星は大きさこそ地球に似ているが環境は全く違う謎だらけの惑星だ。大気の主成分は二酸化炭素。表面の気圧は90気圧、温度は400度を超える。大気は金星の自転速度の60倍、秒速100メートルで金星を回る。そんな大気の動きが続く理由は分かっていない。
あかつきは金星の周りを回りながら地表が放つ赤外線を観測し、大気の動きを調べて、謎の解明を目指す。その成果に世界の研究者から大きな期待が寄せられている。
はやぶさの帰還も楽しみだ。2003年に打ち上げられ、05年に小惑星イトカワに着陸。離陸後、エンジンの故障など数々のトラブルを乗り越え、地球に向かっている。着陸時にイトカワの岩石を採取できたかは帰還するまで分からない。取れていなくても、小惑星の重力や表面の状態を明らかにした成果と、高い技術力を確立した意義は揺るがない。
宇宙の利用にも明るい見通しがほしい。宇宙産業の国際市場が拡大を続ける中で、日本の宇宙産業には停滞感が漂う。官需が中心で、国際競争を勝ち抜き、人工衛星や衛星打ち上げを海外から受注するケースがほとんどないからだ。
欧米では今年、国際宇宙ステーションなど低軌道への人の輸送という宇宙産業の新たな分野に期待が高まっている。特に米企業によるステーションへの物資輸送は今年、打ち上げ試験が始まる。
鳩山政権はこうした大きな変化の中で、日本の宇宙産業を発展させる道を考える必要がある。
宇宙利用のもう一つの課題は情報収集衛星だ。画像や活動状況は公開されず、偵察以外に災害や資源の調査にも使うはずだったがどう活用されているのか分からない。米国では昨年、偵察衛星が撮影した画像の公開が始まり、北極海の氷の減少を調べる研究などに役立っている。日本も情報収集衛星の偵察以外の活用と情報公開を進めるべきだ。
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