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藤井財務相辞任/予算案審議に万全期すべき(1月7日付)
鳩山由紀夫首相は体調不良を訴えた藤井裕久財務相の辞任を了承し、後任に菅直人副総理兼国家戦略担当相を充てることを決めた。国家戦略担当相は仙谷由人行政刷新担当相が兼務することになった。
予算案を編成した閣僚が国会での審議を前に辞任するのは極めて異例。不祥事が理由ではないとはいえ内閣発足後初の、しかも重要閣僚の辞任であり政権が痛手を被ったことは否めない。
18日召集予定の通常国会では2009年度第2次補正予算案、引き続いて10年度予算案の審議が控えている。二番底を回避し景気浮揚を図るため、両予算の早期成立は鳩山内閣の最優先課題である。新体制の下で予算案の審議に万全を期すべきだ。
藤井氏は昨年12月28日から静養と検査のために入院していた。予算案編成の激務がたたったとみられる。財務相に就任してから自民党前政権時代の概算要求やり直しに始まり、税収が大きく落ち込んだ中での赤字国債の大量発行と財政規律との板挟み、さらには民主党マニフェスト(政権公約)関連の予算圧縮など、心労も重なったことだろう。
77歳の藤井氏は閣内最高齢、民主党国会議員の中でも2番目の高齢だ。長丁場の国会日程に加え、国際金融会議への出席という重責を併せて考えれば、辞任はやむを得ない。
そもそも藤井氏は先の衆院選で引退を表明していた。だが民主党の要請で比例代表で当選。大蔵省出身のうえ細川、羽田両連立政権で蔵相を務めた実績もあり、財務相起用も鳩山首相の強い意向だった。
藤井氏の辞任は菅副総理、小沢一郎民主党幹事長との確執も取りざたされた。菅氏とは予算案編成をめぐる権限争いがあり、小沢氏とは西松建設の巨額献金事件の際に代表辞任を主張したことで溝ができたとの指摘である。
寄り合い所帯の民主党は閣僚メンバーも微妙なバランスの上に構成されている。そのため後任人事でも党内事情、とりわけ小沢氏の意向に配慮せざるを得なかっただろう。
結果的に閣内での調整にとどめたことは、ダメージを最小限に抑えたいとの首相の意思の表れだろう。菅氏は予算編成にもかかわり、答弁上手でもある。その意味で妥当な人事ではある。しかし、国家戦略担当相と行政刷新担当相は「政治主導」を実践する車の両輪であり、仙谷氏の兼務には無理がある。いずれ新たに担当相を任命する必要があろう。
政権交代後、初の予算案審議は鳩山内閣が目指す国づくりの第一歩と位置付けられる。これに対し自民党は「ばらまき予算」と厳しく追及する構えで、通常国会は冒頭から波乱含みだ。予算の成否は内閣の行方と密接に関連しているのだから政府与党は一体となり国会に臨むべきだ。
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