安住るり

 ◆ 北澤防衛大臣の「転向」発言
 
 まず、おとぼけ防衛大臣の北澤俊美氏が、かくのごとく「転向」を語ったそうだ。
 
 NHKニュース
 http://www.nhk.or.jp/news/t10015013131000.html#
 
 1月15日 21時52分
 
 北澤防衛大臣は長野市であいさつし、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設問題について、名護市辺野古のキャンプシュワブ沿岸に移設する今の計画を実現するのは困難だという考えを示したうえで、アメリカ側にもこうした考えを伝えていることを明らかにしました。
 
 この中で北澤防衛大臣は、普天間基地の移設問題について、「わたしは、去年の段階では、名護市辺野古のキャンプシュワブ沿岸に移設するとした今の計画で一気に決着させるべきだと主張していたが、内閣全体として、もう少し国民にわかりやすいように、過去の経過を検証したいということになった」と述べました。
 そのうえで、北澤大臣は「年を越して時間をかけるのであれば、まちがいなく、今の計画はできない覚悟をしなければならないというのが、わたしの防衛大臣としての主張だ」と述べ、今の計画の実現は困難だという考えを示しました。また、北澤大臣は「アメリカのルース駐日大使には、最終的に今の計画に戻ったとしても、沖縄の政治状況からして、実際に実現できるかどうか疑問だと、率直に話をしている」と述べ、アメリカ側にもこうした考えを伝えていることを明らかにしました。
 (以上、NHKニュースより)
 
 ◆ アーミテージの「代替案」発言
 
 一方のワシントンでは、ブッシュ政権の国務副長官だった「ジャパン・ハンドラー」のリチャード・アーミテージ氏が、「辺野古に代わるB案を検討すべきだ」と述べたとか。
 
 読売新聞、日経新聞などが報じている。これについて確認したくて、英文の報道を探してみたが、見つからなかった。
 しかし「読売」も「日経」も、ポイントは同じなので、アメリカ側の「譲歩」が始まった、と見ていいだろう。
 http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20100116-567-OYT1T01013.html
 
 ブッシュ政権からオバマ政権に国防長官として留任したロバート・ゲーツ氏が去年10月に来日して、「米軍再編計画はパッケージだから、日本側が辺野古新基地建設をしないなら、普天間の海兵隊のグアム移転も白紙になる」、などと発言したとき、私は、「この発言は日本への脅しの効果はない」と書いた。
 
 なぜなら、ラムズフェルドが策定した「世界的な米軍再編計画」は、もはや実行不可能だからだ。「パッケージ」といいながら、米軍自体が、アレコレと「計画変更」を余儀なくされている。神奈川県の座間基地への本格的司令部移転計画が中止になったことも、その一例だ。
 
 アメリカ国内でも、ゲーツ氏のこの高飛車な発言には批判が出た。「時代錯誤である」と。
 
 
 また私は、元旦のコラムで、「日本が政権交代すれば、辺野古への新基地建設計画は消えるのが論理的帰結である」と書いた。
 
 かつ、「米軍にとって、海兵隊はグアムにまとめるのが合理的なのだ」とも書いた。
 
 その根拠になる情報を、日本人は知るべきだ。
 
 ◆ 米軍は普天間の海兵隊をグアムに移すと決めている
 
 普天間基地を抱える沖縄県宜野湾市の伊波洋一市長へのインタビューが昨年12月11日に日本テレビのNews24で放映されたそうで(筆者は知らなかったが)、その完全版がネットで読める。
 http://peacephilosophy.blogspot.com/2010/01/blog-post_12.html
 
 一部を引用しよう。
 ~~
 伊波市長:
 結局一番何が問題なのかというと、このグアムの移転計画について、詳細を米側が日本に伝えてないんです。伝えてないからロードマップのあとの説明が出来てない。2006年5月以降の今の状況が無いんですね。
 (書類を取り出す:今までの流れを表しているタイムラインを指す)
 2006年5月から状況が変わってるんです。グアムの軍事統合計画というのが策定されて、そして私達は、沖縄の中部の市町村長とグアムの調査を2007年に行ったんですよ。
 そのとき、向こうでは沖縄の海兵隊が来るということ、普天間のヘリの部隊などが来るということと、その場所もちゃんと説明を受けてるんです。
 次に2008年の9月15日には海軍長官が米国の連邦議会、下院議会に、報告書を出してるんです。ここに部隊の詳細がでています。沖縄の部隊が、これこれが、グアムに行きますよと。
 それからですね、次は、今年(2009年)の6月ですけど、海兵隊総司令官が連邦上院の軍事委員会に報告書を出してるんですよ。これもちゃんと沖縄から8000名の部隊がグアムに行くけれども、これは何を理由にしてるかと言うと、沖縄の基地との問題ですね、沖縄の基地が住民地域ととても密接に近づいているので、この問題を解決するためにグアムに行きますと、ちゃんと書いてあるんですよ。
 この流れがですね(2006年5月から2009年11月の間の流れ)完全に国内で説明されていない。国会の中でも説明されていないし、政府もこのことに対して一つも説明をしてないんです。
 (以上、一部引用)
 
 海兵隊が普天間基地に実際に何人居るのか、ということが日本側に正しく伝わっていない、ということは、朝日新聞の田岡さんが以前から指摘していたが、この伊波市長のインタビューを落ち着いてよく読めば、海兵隊の役割についても、日本政府はロクに知らずに、普天間基地が返還されるためには「どこか代替地を日本側が提供しなければならない」と「思い込まされていた」のだと分かる。
 
 「落としどころは辺野古しかない」などと断言していた某専門家は、米軍の「日本騙し」の手先だったのか? 
 「グアム移転はムリだと分かるのに鳩山さんは100日もかかったのですか!!!」などとテレビカメラに向かって喚いていた元防衛大臣は、日本人を騙していたのか、はたまた彼も騙されていたのか。
 
 一説には、沖縄県内で新基地建設という「数千億円の公共事業」を当て込んで、建設業界・銀行・政治家などがすでに先行投資(?)をしてしまって後に引けない、とか・・・。
 
 辺野古の地元の名護市で、市長選挙が17日に告示された。投票は1週間後の1月24日。

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キャンプシュワブとは半世紀付き合ってきたが、新基地建設で「命の海」を潰すことだけは絶対に許さない!と固い決意の辺野古のオバアたちの「太陽(ティダ)の会」2007年10月、筆者撮影


 ◆ 小沢一郎と検察の「最終戦争」とやらは目くらましか
 
 マスコミは小沢、オザワで夜も日も明けないが、こんなとき、冷静になって、他のニュースに目をこらそう。
 
 1月15日をもって「インド洋の給油」は終わったが、日本も世界も静かなものだ。
 
 日米安保条約50年目の改定は、1月19日だが、例年のごとく、国民が知らない間に、こっそりと「更新」されるのだろう。
 
 
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