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岡田克也外相とクリントン米国務長官が、ハワイで会談した。こじれた日米関係は、辛うじて取り繕えたようだが、傷ついた信頼の回復はこれからだ。
鳩山由紀夫首相は、米軍普天間飛行場移設問題を早く決着させ、同盟の「深化」の在り方を探るべきだろう。
日本側の求めに応じる形で実現した会談。当面の懸案が「普天間」だった。名護市のキャンプ・シュワブ沿岸に移設するとした日米合意を見直し、結論を5月まで先送りする―との方針に理解を取り付けるのが主眼である。
米側は「現行合意は長い時間をかけた最善の道」と強調した。早期の履行を迫る姿勢に変わりはないことを、あらためて鮮明にしたにすぎない。その限りでは打開に向けた進展はなかったというのが多くの見方だ。
一方で普天間問題の位置付けについて「非常に重要だが、包括的なパートナーシップの一部」と述べたとも伝えられている。日本側に一定の理解を示すことで、日米関係全体への波及を最小限に食い止める狙いもあったようだ。
このままでは、アジア太平洋地域の安全保障にも影響を及ぼしかねない。そんな危機感があったとしても不思議ではない。
ただ「普天間問題の早期解決がない限り日米の溝は埋まらない」との声は強い。信頼を取り戻すには、日本側が対案を示した上でさまざまなレベルで対話をする努力が欠かせまい。
5月決着の約束を果たせなければ、鳩山首相ばかりか国としての責任が厳しく問われる。
気がかりなのは、作業がなかなか進まないことだ。政府と与党の実務者でつくる沖縄基地問題検討委員会は、やっと移設先の検討に入ったばかり。これまでは閣僚らの間で移転先についてばらばらの発言が続いていた。
いきなり名前が取りざたされた静岡県御殿場市や長崎県大村市などで強い反発の声が上がっているのは、当然だろう。
政権が一丸となって普天間問題に取り組む意気込みがどうも伝わってこない。連立与党との調整も含め、首相に指導力を発揮してもらいたい。
会談では、日米安保条約改定50年に合わせて同盟を深化させるための政府間協議を始めることで一致した。普天間問題のあおりを受ける形で事実上、棚上げされていただけに歓迎したい。
1996年の日米安保共同宣言は、アジア太平洋地域で10万人規模の米軍維持をうたう。その見直しも含めて包括的な安保の在り方を議論したい、というのが日本側の意向だ。
朝鮮半島などの有事に備えてどの程度の抑止力が必要で、米軍基地にはどんな役割を期待するのか。まずは国民に分かりやすく説明し、その上で普天間問題の決着点を見いだす。併せて「環境」「エネルギー」など軍事以外に同盟関係のすそ野を広げる構想を打ち出したい。
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