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ヒロシマの役割 「核」禁止条約へ一歩を '10/1/4

 「核兵器のない世界」への道がうっすらながら見えてきたのではないか。廃絶に向かって、国際社会が確かな一歩を踏みだす年にしたい。

 核超大国である米国の「チェンジ」で、機運はかつてなく盛り上がっている。それを追い風に、核兵器を持つ国に後戻りを許さないよう、法的な拘束力のある禁止の枠組みづくりが急がれる。

 絶好の「舞台」が5月に開幕する。5年おきに米ニューヨークの国連本部で開かれる核拡散防止条約(NPT)の再検討会議だ。NPTは、米ロ英仏中の5カ国に核兵器を持つ「特権」を認める代わりに核軍縮を義務づけている。その実行を迫ることのできる数少ないチャンスである。

 5年前は、何の合意もできず決裂した。当時のブッシュ米政権が核軍縮に背を向けたのが響いた。今回は、オバマ政権が核軍縮へと大きく政策を転換しただけに、期待できそうだ。

 といっても単なる削減では不十分である。核兵器の使用はもちろん、開発や威嚇も禁じる条約づくりまで進めたい。そのための交渉開始を決めるだけでも、大きな一歩となる。

 ただ米国内では、軍部や保守派などの反対も根強い。9月までに3回の臨界前核実験の計画もあるという。これではどれほど真剣に「ゼロ」を目指しているのか疑いたくなる。

 本気度が試されるのが、2月にも発表される核戦略見直し計画である。核兵器は、持っていない国には使わない。先制使用は控える…。軍部などを抑えてそこまで踏み込めれば、会議で禁止条約へのスタートを切る展望が開ける。

 条約の協議が始まったら、NPTに加盟していないインドやパキスタン、イスラエルに廃棄への圧力をかけることができよう。核開発にこだわる北朝鮮やイランを説得する材料にもなるはずだ。

 被爆国日本は何ができるか。核廃絶について鳩山由紀夫首相は昨年9月、国連で「日本が先頭に立たなければならない」との決意を示した。まずは米国の「核の傘」を脱する方策を探ることだろう。

 「核の傘」で守られていることが、北朝鮮に核開発の根拠を与えている面もある。

 核廃絶の動きで、日本が足を引っ張ってはいけまい。どうやって「傘」をたたむか。政府はその道筋を急いで描くべきだ。韓国を含む3カ国が核を持たず、保有国も核攻撃しないと約束するのが、当面の目標だろう。

 世界が、日本が、変わりつつある好機を生かせるか。被爆地の役割は重い。特に広島、長崎の両市が先頭に立つ平和市長会議。2020年までの核兵器廃絶を掲げ、具体的な手順を示した「議定書」を提唱して、賛同の輪を広げている。加盟都市は、01年の7倍近い3488に増えた。

 ヒロシマの訴えが国際的な支持を得ている表れだろう。そんな草の根の声を集めて、保有国を動かす原動力にしたい。




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